研究課題
癌標的医療の近年の研究開発においては、新たな分子標的薬の探索とともに癌ワクチンの創製、特に、その臨床効果の検証と効果増強法の解明が中心課題となっている。申請者らは新規の癌免疫療法「癌治療遺伝子REIC/Dkk-3 を用いた前立腺癌に対するin-situ 遺伝子治療」の臨床研究において、既にPSA 低下を伴う抗腫瘍効果を確認し、さらに「癌細胞の選択的アポトーシス」と「抗癌免疫の活性化」による相乗的効果増強作用(自己癌ワクチン化)が誘導されることを実証しつつある。また、近年、申請者らは極めて強力な遺伝子発現を実現する新規の超高効率遺伝子発現(SGE)システムの開発に成功した。本研究では、この超高効率遺伝子発現技術をREICアデノウイルスベクターに組み込んだAd-SGE-REIC剤を用いて、尿路癌を中心とした複数の癌種においてAd-SGE-REIC剤の殺癌細胞効果を検証した。また、現存の超高効率遺伝子発現システム(発現遺伝子の直ぐ下流に3つのエンハンサー配列 [hTERT、SV40、CMV] を挿入)を更に改良する為の基盤研究を実施した。まずプラスミドベクターレベルでSGE システムの優位性をさらに向上させる目的で、発現遺伝子の直ぐ下流に各種エンハンサー群を挿入し、それぞれの場合の遺伝子発現について「SGE 遺伝子発現システムの最適化」の観点から解析した。この結果を踏まえて、各尿路性器癌に最も適したSGEシステムを決定し、各癌における自己癌ワクチン化を目指したREIC遺伝子治療の最適化につなげていく方針である。本研究により、複数の癌種においてAd-SGE-REIC剤の殺癌細胞効果の優位性(従来のAd-REICと比較した際の)を確認した。得られたin vitro実験での知見を踏まえて、今後はin vivo投与実験等へ研究を進め、さらに、SGE 遺伝子発現システムの最適化に関する研究を継続して実施する。
すべて 2014
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Oncology Letters
巻: 8 ページ: 789-794