研究課題
前立腺がんは本邦では増加の一途を辿っており、その治療も重要ではあるが、発症予防は最も重要な課題と言える。前立腺癌の発症と進展には、アンドロゲン受容体 (AR)シグナルが最も重要であり食事や内服薬に関する疫学的な研究より、ARと関連する化学予防が有効であることが判明しているが、その分子機序については不明なことも多い。この研究では疫学的にその有効性が報告されているイソフラボンや、COX阻害剤であるアスピリンやセレコキシブなどの物質が、ARシグナルやその関連分子とどのような分子作用を有し、前立腺がんの予防に関与しているか、分子生物学的にその機序を解明することを目的としている。本年度は、イソフラボンとARシグナルとの関連を分子生物学に解析した。まず、LNCaP細胞では、ダイゼイン、ゲニステイン、エコールの中で、エコールが最もPSA発現を低下させ、AR阻害作用が強いことが判明した。エコールは、アンドロゲン依存症であるLNCaP細胞では増殖阻害とアポトーシスを誘導するが、アンドロゲン依存症を喪失したCxR細胞や 22Rv1細胞では、その抑制作用が見られなかった。プロテアソーム解析により、 エコールは、Skp2を介してAR蛋白の分解を促進することで、ARシグナルを阻害する作用を有していることを明らかにした。これらの結果は、予防薬普及の原動力となり、大規模な介入試験を行う動機付けを行うことによって、将来的に前立腺癌の化学予防の発展に貢献することが期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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