前立腺癌の発症予防のため、その有効性が報告されている物質が、どのような分子機序で働いているのか解明することが本研究の目的である。大豆に含まれるイソフラボンや、COX阻害剤であるアスピリンやセレコキシブなどの物質に注目した。その結果、アスピリンはプロスタグランジンEP3受容体を介して、セレコキシブはEP2受容体を介して、それぞれアンドロゲン受容体 (AR)の発現調節を行っていた。また、イソフラボンの一種のエコールは、Skp2を介してAR蛋白分解を促進することで、ARシグナルを阻害する作用を有していることを明らかにした。これらの結果は、将来的に前立腺癌の化学予防の発展に貢献することが期待される。
|