研究概要 |
本年度は、膀胱癌細胞の生存・増殖・浸潤における脂肪組織由来線維芽細胞の影響を検討するため、癌細胞株と脂肪組織由来間質線維芽細胞(ATSCs)との混合培養を行った。癌細胞株は、表在性膀胱癌細胞株(RT4, RT112)と浸潤性膀胱癌細胞株(EJ,HT1376)使用した。線維芽細胞のコントロールとして線維芽細胞株(NIH3T3)を用いて癌細胞株との混合培養を行った。ATSC,3T3をゲル内に包埋し、ゲル上に癌細胞株を播種し、Collagen gel invasion assay systemを用いて相互作用を検討した。HE染色・免疫染色にて比較検討を行った。ATSCsは、表在性膀胱癌細胞株(RT4,RT112)のアポトーシスを促進し、増殖を抑制した。一方、浸潤性膀胱癌細胞株(EJ,HT1376)では増殖を促進し、アポトーシスを抑制した。また、癌の増殖促進の因子であるMAPK pathway中のraf-1,MEK1/2,ERK1/2 の発現を免疫染色で検討した。 ATSCsは、表在性・浸潤性膀胱癌ともにMAPK pathwayの発現を亢進した。表在型、浸潤型それぞれの細胞におけるMAPK pathwayの役割が相反することが示唆された。
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