研究実績の概要 |
前年度(まで研究結果より、脂肪組織由来線維芽細胞(ATSCs)は、表在性膀胱癌細胞株(RT4,RT112)のアポトーシス促進、増殖抑制に働き、浸潤性膀胱癌細胞株(EJ,HT1376)では増殖促進、アポトーシス抑制に働くことがわかった。MAPK pathway( raf-1,MEK1/2,ERK1/2, p38)やMMP-2,-7,-9が蛋白レベルでの発現亢進しており、上記の細胞動態中間因子としての役割を示唆された。 最終年度は、その他の細胞動態因子として、癌―間質相互作用の関連因子である HER-2, COX-2, EGFR, E-cadherinの発現を膀胱癌―脂肪組織間質細胞(ATSCs)解析モデルを使用し検討した。表在性膀胱癌では、ATSCsとの混合培養で、HER-2, COX-2, E-cadherin の発現が亢進したが、EGFRは発現に差はなかった。一方、 浸潤性膀胱癌では、COX-2のみ混合培養で発現低下しており、その他の因子では 発現に差がみられなかった。これらの結果より、表在性膀胱癌における治療では、ATSCsが、HER-2をターゲットとする分子標的治療に効果的なことが示唆された。COX-2の発現が表在性膀胱癌のアポトーシスを促進する一方、浸潤性膀胱癌では発現低下で増殖促進することが示唆された。この結果をふまえて、HER-2, COX-2,を中心とした治療法の解析実験を行っていきたい。
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