研究実績の概要 |
前年度までの結果より、表在性、浸潤性膀胱癌株それぞれとの混合培養で、癌幹細胞のマーカーであるCD44、CD105の発現が、ATSCs単独培養群よりも亢進した。表在性膀胱癌株では、ATSCsは、αSMAの発現が亢進させ、myofibroblastへの分化が示唆された。一方、浸潤性膀胱癌株では、s-100の発現が亢進し、preadipocytesへの分化が示唆され、癌のタイプによりATSCsの分化能が変化することが示唆された。最終年度は、膀胱癌-脂肪組織間質細胞(ATSCs)相互作用解析モデルを用いてその他の細胞動態の仲介因子の解析を行った。蛋白アレイを用いて、可溶性レセプターと非造血性仲介因子(119種類)に対して網羅的蛋白解析を行った。表在性膀胱癌では、ATSCsとの混合培養でCD147, galection-3, galection-3BPの発現亢進がみられた。一方、浸潤性膀胱癌では、ATSCsとの混合培養で発現低下がみられた。Cathepsin D, CRELD2 は、ATSCsとの混合培養で表在性膀胱癌では発現低下したが、浸潤性膀胱癌では発現亢進した。その他の因子では、発現がみられなかった。以上の結果より、CD147, galection-3, galection-3BP, Cathepsin D, CRELD2が間質細胞誘導性の癌幹細胞細胞動態の仲介因子の一部と示唆された。今後は、阻害因子の投与実験等を行い更なる解析を行っていきたい。
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