研究課題/領域番号 |
25462488
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
酒井 英樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40235122)
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研究分担者 |
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
大庭 康司郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20593825)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / E prostanoid receptor / human antigen R / cyclooxygenase-2 / prostaglandin E2 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、green tea polyphenol (GTP)とE prostanoid receptor (EPR)拮抗薬による前立腺癌の発生・進行予防効果を明らかにすることである。まず、前立腺癌におけるhuman antigen R (HuR)の役割を解析するとともに、ヒト前立腺癌ときわめて類似したマウス前立腺癌モデルを用いてGTPによるHuR抑制 → cyclooxygenase (COX)-2抑制 → prostaglandin E2 (PGE2)産生の抑制効果を解析する。 平成27年度は、ホルモン感受性前立腺癌(HSPC)と去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)組織における臨床病理学的特徴とHuRを含む種々の癌関連因子との関連を検討した。細胞質HuRの発現は、CRPC>HSPC>非腫瘍細胞の順に高く、Gleasonスコア、T病期、転移と関連し、前立腺全摘術後の生化学的再発を予測する有用な指標であった。また、細胞質HuR発現はHSPCにおいてCOX-2と関連し、CRPCにおいてVEGF-A、VEGF-CおよびCOX-2と関連していた。前立腺癌細胞株を用いたin vitro実験の結果と併せて、HuRは細胞増殖、遊走、COX-2、VEGF-Aおよび-Cの制御を介して前立腺癌の生物学的悪性度に関与していることが示唆された。 また、前立腺癌を発生する遺伝子改変マウスにEPR拮抗薬の投与を行う実験から、同薬の前立腺癌進行抑制効果を示す所見が得られた。以上の結果から、HuRの抑制とEPR拮抗薬は前立腺癌の進行予防に有用である可能性が示唆された。今後GTP投与マウスにおけるHuR抑制作用を確認する予定である。
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