研究課題/領域番号 |
25462490
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中川 昌之 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90164144)
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研究分担者 |
関 直彦 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345013)
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80347103)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 膀胱癌 |
研究概要 |
現在使用可能な既存治療薬の標的となっているシグナル伝達機構と、膀胱癌細胞における機能性RNA分子ネットワークの相互関係を研究・理解して、膀胱癌の新規個別化治療戦略を構築することが目標である。deep sequencingによるmiRNA発現解析では、933個の既知miRNAおよび17個の新規miRNAの発現を解析し得た。933個の既知miRNAのうち、膀胱癌で有意に発現が抑制されている60個のmiRNAのなかには、miR-1/133a、miR-206/133b、 let-7c/miR-99a、miR-143/145、miR-195/497の複数のクラスタが含まれていた。それらの中でこれまで膀胱癌で報告のないmiR-497を含むmiR-195/497クラスタについて注目した。miR-195およびmiR-497はいずれも臨床膀胱癌検体において発現が抑制されていた。また、miR-195およびmiR-497導入膀胱癌細胞ではいずれも細胞増殖能、浸潤能、遊走能が抑制されていた。in silico 解析にて検索し標的遺伝子として注目したBIRC5およびWNT7Aは、いずれも miR-195、miR-497導入膀胱癌細胞株において有意に発現が抑制されていた。ルシフェラーゼアッセイでは、miR-195、miR-497は直接BIRC5およびWNT7Aに結合し、これらの発現を制御していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はdeep sequencingをベースにして、癌抑制マイクロRNAクラスターを同定し、その機能解析を行い、論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
癌抑制型miRNAが制御する標的遺伝子群の網羅的探索と機能分類から、さらに機能性RNA分子ネットワークを探索する予定である。探索された分子ネットワークが患者症例で活性化されているか、膀胱癌臨床検体を用いて検証する予定である。膀胱癌で活性化されているシグナル伝達経路を遮断するmiRNAや分子標的薬剤や既存の治療薬の選択を行う予定である。選択された薬剤について細胞株を用いて、シグナル伝達経路を遮断する事による抗腫瘍効果を解析する予定である
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次年度の研究費の使用計画 |
実験全体は順調に進んでいるが、当該実験の結果の検証作業に予想以上の時間がかかり、3カ月程度の遅れを生じており、次年度への繰り越しが必要となったため。 今年度、上半期までに繰り越した実験を終了できる予定であり、繰越金は消耗品の購入に充てられる。
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