研究課題/領域番号 |
25462491
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
齋藤 誠一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80235043)
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研究分担者 |
呉屋 真人 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (50295317)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍マーカー / 腎癌 |
研究概要 |
研究代表者らは、シアル酸転移酵素ST3Gal II mRNAの発現が腎癌症例の大部分で亢進することを見いだした。ST3Gal IIは、分泌型糖タンパク上にも発現可能なsialyl Tを合成するため、sialyl Tを有する糖蛋白は腎癌の新たな血清マーカーとしての可能性がある。そこで、sialyl Tを特異的に認識するモノクローナル抗体( mAb )を作成し、sialyl Tを搭載する糖蛋白( マーカー )を同定、糖鎖と蛋白部に対する抗体でサンドイッチアッセイを構築し、多数の患者における当該マーカーの臨床的有用性を検証することを目的とした。そこで、まずsialyl Tと同じ先端糖鎖構造を有するGD1aを抗原としてmAbの作成を試みたが、陽性クローンを得ることはできなかった。次善策として、sialyl Tの先端構造を含む糖鎖構造を認識するmAb RM1にて、腎癌患者および良性泌尿器科疾患患者の血清を反応させたところ、両者で50kDaの糖蛋白への反応が認められた。50kDaの蛋白解析により、いくつかの糖蛋白が検出された。そのうちの1つ(GPX1)の血清レベル(抗体に対する反応レベル)を、1つの陽性コントロールのレベルによりnormalizeして測定したところ、腎癌患者 63例のGPX1レベルは、良性泌尿器科疾患患者53 例のそれよりも、抗体に対する血清反応レベルが有意に低下していることが判明した(p=0.0004)。このことから、GPX1は腎癌患者では正常よりも低下するマーカーとしての可能性がでて来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
sialyl Tに対する特異的なモノクローナル抗体を作成するところは、うまく行かなかった。糖脂質を抗原としているため抗原性の低さが問題だった可能性は残る。代わりに、sialyl Tを含む糖鎖構造に対するmAb RM1(研究代表者が作成したもの)を用いて、腎癌患者の血清中で良性疾患患者のそれにおいてよりも低下する糖蛋白(マーカー)を同定できたため、80点くらいの達成度と思われた。
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今後の研究の推進方策 |
GPX1の腎癌組織における発現状況、GPX1の生物学的役割、血清でGPX1が低下するメカニズム、等について検討を予定している。同時に、sialyl に対する特異的mAbの作成に代わるものとして、sialyl を特異的に認識するreagentの開発も行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の見込み金額よりも安くプラスチック製品を購入することが出来たため。 次年度、消耗品の購入にあてる予定です。
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