腎癌患者血清を非癌患者のそれと比較する過程で、淡明腎癌患者血清で減少するシアル酸を有する糖蛋白(GP-RCC)を同定した。淡明腎細胞癌患者63名、非癌良性疾患患者53名で比較したところ、癌患者でGP-RCCの血清レベルが有意に低下していた (p=0.0004)。現在までに6例の術前術後のレベル変化を検討したが、6例中5例で術後のGP-RCCの濃度が上昇していた。一方、腎癌細胞株における存在様式は、血清における存在様式(45-50kDa)よりも分子量が低下した状態(約38kDa)であった。グリコシダーゼ処理で低分子量化したため、血清とがん細胞内では糖鎖の付加に違いがあることが明らかとなった。
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