研究課題/領域番号 |
25462493
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
上村 博司 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (50244439)
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研究分担者 |
窪田 吉信 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10106312)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / レニン‐アンジオテンシン系 |
研究概要 |
AngIIからアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)によって変換されるペプチドのAng1-7が抗腫瘍効果を有するとした基礎研究が報告されている。ACE阻害剤は、直接ACE2には作用しないが、AngI濃度を上昇させることによってAng1-7産生を促進したり、Ang1-7の分解を予防したりする間接的な作用を持つと推察されている。Ang1-7は、AngIIレセプターのAT1RあるいはAT2Rには結合せず、GPCRであるMasレセプターに結合することが分かっている。アンジオテンシン2レセプターブロッカーのオルメサルタンなどは、ACE2に影響してAngIIからAng1-7への転換を促進し、血管内皮細胞表面にあるMasレセプターを刺激して、血管収縮を抑えるとの報告もある。 今回、我々は前立腺癌細胞(LNCaP)にMasレセプターを強制発現させ、その増殖能や浸潤能について検討した。その結果、細胞増殖は、Ang1-7を加えても特に変化を認めていない。また、ダブルチェンバーによる浸潤能の測定も、Masレセプターを強制発現では変化がなかった。ウェスタンブロット解析では、アンドロゲン受容体(AR)の発現がAng1-7刺激によって抑制されているのが確認されたが、Masレセプターの強制発現でも同程度のAR発現抑制が見られた。シグナル伝達系を調べてみると、Aktの活性化(リン酸化)がAng1-7刺激によって抑制されているのが、確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MASレセプターの遺伝子導入を行い、動物実験の準備をしているところである。また、新規のアンジオテンシン2レセプターブロッカーの試薬提供を、国内製薬会社から受け、現在細胞実験で確認している。
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今後の研究の推進方策 |
MASレセプター発現細胞を使った、動物実験を行っていく。さらに、MASレセプター発現細胞と野生型細胞での遺伝子発現の違いを、DNAマイクロアレイで観察する。アンジオテンシン2レセプターブロッカーを用いて、Ang1-7とMASレセプターの作用への影響について、ウェスタンブロット法でシグナル伝達系を観察する。また、同時に増殖能や浸潤能についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
安価な薬品を購入したり、実験計画を見直した結果により実験手順の簡潔化が可能となったりしたため、繰越金が生じた。 MASレセプター発現細胞を使った、動物実験を行っていく。さらに、MASレセプター発現細胞と野生型細胞での遺伝子発現の違いを、DNAマイクロアレイで観察する。アンジオテンシン2レセプターブロッカーを用いて、Ang1-7とMASレセプターの作用への影響について、ウェスタンブロット法でシグナル伝達系を観察する。また、同時に増殖能や浸潤能についても検討する。
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