研究課題
浸潤性膀胱癌における炭酸脱水酵素2(CA2)の発現の増加が認められており、N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine (BBN)誘発マウス膀胱癌モデルを用いて、CA inhibitor であるAcetazolamide (Ace)の浸潤抑制効果について検討した。実験1で0.025% BBNを雄性C57BLマウス100匹に10週間飲水投与した後、BBN単独群、BBN→Cis群、BBN→Ace群、BBN→Ace+Cis群の4群にわけ、Aceを強制胃投与、Cisplatin (Cis)を12週間腹腔内投与した。実験開始後22週に解剖し、膀胱癌の発生頻度はBBN単独群と比較してBBN→Ace+Cis群及びBBN→Ace群で膀胱癌の発生頻度は有意に減少した。しかし、浸潤癌が少なく、浸潤度に及ぼす影響の評価は困難であったため、BBNの濃度を0.05%へと上げて、実験2を行った。実験2では0.05% BBNをマウス120匹に10週間飲水投与した後、BBN単独群、BBN→Cis群、BBN→Ace群、BBN→Ace+Cis群の4群に分け、実験1と同様にAce 及びCisを12週間投与した。実験開始後22週に解剖し、膀胱癌の発生頻度はBBN→Ace+Cis群において、BBN単独群と比較して有意な発生頻度の低下を認めた。その他の投与群とBBN単独群間では膀胱癌の発生頻度に有意な差は認めなかった。また、筋層浸潤性膀胱癌については、BBN→Ace群及びBBN→Ace+Cis群ではBBN単独群と比較して、有意に浸潤が抑制されていた。以上より、CA inhibitorであるAceと従来の抗癌剤であるCisplatinを併用することによりマウスにおける膀胱癌の予防効果、浸潤抑制効果を認めた。以上より、Aceがヒト浸潤性膀胱癌において臨床応用できる可能性が示唆された。
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