研究課題/領域番号 |
25462501
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
大野 芳正 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40266482)
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研究分担者 |
中島 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (10167546)
橘 政昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (70129526)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / レグメイン |
研究概要 |
研究初年度の平成25年度は、①マトリゲル浸潤能試験、②低酸素状態によるlegumain発現の変化、に関しての実験を行った。 【マトリゲル浸潤能試験】使用した細胞株はPC3とDU145である。siRNAによりlegumainをノックダウンし、コントロール細胞と比較した。siRNAによるノックダウンについては予備実験にてlegumain mRNAの発現低下を確認しておいた。PC3で50%、DU145 で30%の減少が認められた。24well Matrigel invasion chamberを使用し、24時間後および48時間後の% invasionは untreated PC3で12%、35%、untreated DU145で15%、40%であった。一方knocked down PC3では13% ,30%、knocked down DU145で12%、38%とほとんど差を認めなかった。 【低酸素によるlegumain 発現の変化】正常酸素および低酸素(5%O2)濃度下での legumain の発現について検討した。使用した細胞株は、PC3・DU-145・LNCaP・C4-2である。80% confluent状態になったところでRNAを回収しlegumain mRNAの発現をReal-time PCRを用いてcomparative Ct法にて評価した。β-actinをコントロールとした相対定量では、以前の解析と同様に正常酸素濃度下ではDU-145で最も高く、次いで PC3、C4-2、LNCaPの順であった。次いで5%酸素下での培養を行ったが、LNCaPのみ増殖が他の3細胞株に比較して遅かったため、LNCaPは解析対象から除外した。DU145、PC3、C4-2における legumain mRNAの発現は、いずれの細胞でも確認された。また製造酸素濃度でみられたような発現量の差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では前立腺癌細胞株を用いて低酸素条件、低栄養条件下でのレグメインの発現を評価するとともに、浸潤能、遊走能についても検討する予定であった。しかしながら浸潤能試験ではsiRNAを用いてのlegumain の発現抑制によっても浸潤能に変化を認めなかった。予備実験ではlegumain mRNAは抑制されていることが確認されており、この原因の一つとして無血清培地での短時間処理によるlegumainの活性化に問題があるのではないかと考えられた。また低酸素条件下でもlegumain mRNAの発現量の差を認めなかった。低酸素培養にて培養上清のpH変化を測定したが、pHが7前後とほとんど変化しておらず、これが原因のひとつと考えられた。前駆体からの活性化に関しての条件設定をさらに検討する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素下での培養、無血清培養、アンドロゲン除去培養下でのlegumainの活性化が可能かどうか再度検討する必要がある。このため酸素濃度の条件を変更するなど検討予定である。また遊走能試験にてのlegumainの局在変化、siRNAによるlegumain発現抑制による遊走能変化についても検討する予定である。これまでの免疫組織学的検討ではlegumainの細胞内分布が前立腺がんの悪性度と関連することを示した。すなわちvesicular patternを示す高悪性度癌ではlegumainの局在変化が起こっていた。このようなvesicular patternの部位がいかなる環境にあるのかを再度検討する必要もあると考える。現在hypoxyprobe を用いた hypoxic cellの検出が可能であり、前立腺全摘検体を用いてlegumain の染色態度とhypoxiaとの関連について検討も考慮中である。また同様に内分泌治療後の前立腺全摘検体についてもホルモン治療による治療効果、legumain発現変化、hypoxiaとの関連も検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
残高が試薬購入金額に満たないため次年度使用分としました。 細胞培養試薬購入に使用する予定である。
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