研究課題
目的:尿道下裂症例の造精機能障害のリスク因子について後方視的に検討した。対象および方法:当科で加療を行った尿道下裂症例のうち、1986年以降に出生し15歳以上でFSHを含む性腺機能の評価を行った症例を対象とした。性分化疾患や症候群を伴う症例は除外した。FSH15mIU/ml以上を高FSH血症と定義し、高FSH血症を呈する背景因子を検討した。統計学的検討はlogistic regression analysis、Fisherの直接検定を用いて行い、p<0.05を有意とした。結果:対象症例は66例で、出生時体重は385-3638g(中央値2388g)、尿道下裂の程度は遠位型28例・近位型38例で、経過中に9例で停留精巣に対して手術が施行されていた(片側;4例、両側;5例、先天性;2例、後天性;7例)。評価時年齢は15.0-27.0歳(中央値17.5歳)、Tanner stage は5;51例、4;8例、3;1例、不明6例で、評価時body mass indexは12.4-32.6(中央値21.4)であった。高FSH血症は6例(9.1%)であった。logistic regression analysisでは、高FSH血症となるリスク因子は停留精巣の既往のみ(OR:95%CI 9.00: 1.41-59.6)であった。停留精巣を伴った尿道下裂9例中3例(33.3%)が高FSH血症を呈していた。片側停留精巣と両側停留精巣(p=0.52)、先天性と後天性(p=1.00)の間に高FSH血症発症率の差は見られなかった。結語 :尿道下裂症例の9.1%に高FSH血症を認め、そのリスク因子は停留精巣の合併であった。片側性/両側性、先天性/後天性の間に高FSH血症発症率の差を認めないことから、高FSH血症の原因が先天的な要因の関与が大きいと推察された。
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