研究課題
平成25・26年度に、CCD生体顕微鏡によりラット膀胱粘膜毛細血管・膀胱筋層の動脈・静脈を区別して同定し、粘膜毛細血管内の赤血球速度を測定して血流を数値化し、膀胱虚血再還流モデルラットにおける膀胱虚血再灌流障害の発生を確認した。また交感神経アルファ1D>A遮断薬ナフトピジル、α1A遮断薬シロドシンが下部尿路閉塞モデルラットに起こる膀胱血流障害を改善することを、微小循環の観点(血流改善)、機能的観点(膀胱容量減少・頻尿の抑制)、組織学的観点(酸化ストレスマーカーの抑制、炎症細胞浸潤の抑制)から明らかにした。また、虚血再灌流障害によって起こる膀胱毛細血管の機械的変化(毛細血管破綻)は、アルファ1A>D遮断薬タムスロシンが抑制することを確認した。以上より、下部尿路閉塞にみられる膀胱機能障害が、膀胱虚血再灌流障害(膀胱微小循環障害)に起因すること、アルファ1遮断薬により膀胱微小循環の改善を介して抑制されること、またアルファ1A受容体が重要な役割を果たすことをほぼ解明することができた。最終年度の平成27年度は仮説の実証に必要な実験を補追した。虚血再灌流障害モデルにおける膀胱微小循環がタムスロシン投与により改善することを確認した。また、下部尿路閉塞モデルラットで、タムスロシンの皮下浸透圧ポンプによる投与を行い、膀胱粘膜毛細管血流(微小循環)の変化をコントロール群、シャム手術群と比較したところ、下部尿路閉塞による膀胱微小循環障害をタムスロシンが改善することが示された。さらに、実臨床における前立腺肥大症患者では前立腺炎症が高頻度に合併しているため、尿逆流による前立腺炎モデルラットを作成しシロドシンの作用を検討したところ、炎症による前立腺血流の低下・組織中炎症関連蛋白の増加・膀胱内圧測定での膀胱刺激状態を改善した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
LUTS
巻: epub on ahead ページ: epub on ahead
10.1111/luts.12119