研究課題
カルバペネマーゼ産生菌が疑われる、すなわちimipenem (IPM)の最少発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration: MIC)が1ug/dL以上の腸内細菌株を神戸大学附属病院ならびにその関連施設の協力により肺炎桿菌、大腸菌など約40株を収集した。これら菌株を用いてカルバペネム系抗菌薬も含め、9種類の抗菌薬 (IPM、meropenem; MEPM、ampicillin; ABPC、piperacillin; PIPC、cefotaxime; CTX、ceftadizime; CAZ、cefepime; CEPM、piperacillin/tazobactam; PIPC/TAZ、cefoperazon/sulbactam; CPZ/SBT)のMICを測定した。変法ホッジテストによりカルバペネマーゼ陽性の確認試験を行った。これら菌株よりDNAを抽出しカルバペネマーゼ産生菌関連遺伝子であるKPC、VIM、 NDM、 OXA、 IMPなどの産生を同定するべくPCRを行った。結果としては約半数がホッジテスト陽性でカルバペネマーゼ産生ありと判定された。さらに遺伝子解析の結果、IMP型さらにはOXA型のカルバペネマーゼ産生株である可能性が示唆されている。今後はさらに菌株を増やしていきつつシークエンス解析なども追加して行っていき、カルバペネム系抗菌薬であるIPM、MEPMのMICの値との関連を調べ、高度耐性、中等度耐性にそれぞれ関連するシークエンスタイプについても検討していきたい。
2: おおむね順調に進展している
まず一般的には収集が難しいとされるカルバペネマーゼ産生菌を神戸大学附属病院ならびにその関連施設からの多大なご協力により約40株も収集できたことが本研究を順調に開始することに大きな役割を果たせたと思われる。さらにホッジテストでも半数で陽性株でありmetallo-beta lactamase: MBL産生性も確認している。今後は日本ではあまり認められてはいないKPC、NDM産生性などについての研究も進めていきたいと考えている。
まずはカルペネマーゼ産生株のさらなる型別診断を行い、KPC、VIM、 NDM、 OXA、 IMPなどの遺伝子同定をPCR法にて行う。さらにはOXA型IMP型に同定された株に関してはそのシークエンス型別診断も加える予定である。さらに現在多剤耐性菌が問題となっているという現状においてカルバペネマーゼ耐性のみならず他系統抗菌薬との交叉耐性を調べるためにβラクタム系抗菌薬全般としてESBLの産生を調べるのみならず、ニューキノロン系抗菌薬耐性が疑われる株に関しては関連遺伝子の変異や薬剤排出ポンプの発現につきPCR法での検討を加え、アミノ配糖体耐性関連遺伝子であるaac(6')-Iaeの有無についても調査していく予定である。これらにより多剤耐性菌に関連する遺伝子ならびにそれらのシークエンス型別診断を行っていきたい。
予想よりも目的菌株の収集数が少なかったため。平成26年度に合算して使用予定。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Jpn J Infect Dis.
巻: 67 ページ: 54-57
24451104