尿路結石におけるオステオポンチン抗体を用いた分子標的治療の開発

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25462518
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 本間 秀樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20260789)
• 研究分担者: 郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047) ; 戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733) ; 安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40326153) ; 岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966) ; 濱本 周造 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80551267)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 尿路結石 / オステオポンチン

研究実績の概要

腎結石形成には結石マトリックス成分の１つであるオステオポンチン（OPN）が強く関わっている。OPNは多くの機能的アミノ酸配列をもち、それらが切断や重合するにより生理活性を生じる。私たちは、結石形成マウスにおいて、非切断型OPNは腎全体に分布しているが、切断型OPNは結晶の形成に一致して腎皮髄境界部に発現するという興味の深い現象を見つけた。この現象は、切断型OPNが腎結石の形成に密接に関わっていることを示すものである。そこで本研究では、切断型OPNにて露出されるアミノ酸配列（SLAYGLR）に対する中和抗体を作成し、腎結石の形成抑制作用を検討した。
（In vitro実験）尿細管細胞にCOM結晶を暴露すると、細胞に結晶が取り込まれ、形態は膨化し崩壊するものの、OPN抗体投与により、結晶の尿細管細胞への接着、細胞の崩壊が抑制された。（In vivo実験）結晶形成量は、WT群で最も多く、抗体投与により容量依存性に低下した。特に500、1000μg/ml抗体投与においては、有意に結晶形成が抑制された。結晶の微細構造は、WT群では、結晶が整然と放射状に成長し花弁状構造を示しており、KO群では小さな結晶核が不規則に集まる形態を示した。抗体投与群では、結晶は放射状に形成されるも、内部が細かく砕けていた。透過型電子顕微鏡による尿細管細胞の構造は、WT群では管腔が拡張し、尿細管細胞に取り込まれる結晶を認めたが、抗体投与群、KO群においては、尿細管腔内に脱落組織は認めるものの、結晶形成は認めなかった。つまり、OPN抗体を結石モデルマウスに投与したところ、結石形成量や形態形成が抑制されることを証明した。

研究成果

• [雑誌論文] Efficacy of endoscopic combined intrarenal surgery in the prone split-leg position for staghorn calculi. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hamamoto Shuzo, Yasui Takahiro, Okada Atsushi, Koiwa Satoshi, Taguchi Kazumi, Itoh Yasunori, Kawai Noriyasu, Hashimoto Yoshihiro, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro
  • 雑誌名: Journal of Endourology 巻: 29 ページ: 19-24
  • DOI: 10.1089/end.2014.0372
  • 査読あり
• [雑誌論文] Proinflammatory and metabolic changes facilitate renal crystal deposition in an obese mouse model of metabolic syndrome. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi Kazumi, Okada Atsushi, Hamamoto Shuzo, Iwatsuki Shoichiro, Naiki Taku, Ando Ryosuke, Mizuno Kentaro, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro, Yasui Takahiro
  • 雑誌名: Journal of Urology 巻: 194 ページ: 1787-96
  • DOI: 10.1016/j.juro.2015.07.083.
  • 査読あり
• [雑誌論文] First case report of staghorn calculi successfully removed by mini-endoscopic combined intrarenal surgery in a 2-year-old boy. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi Kazumi, Hamamoto Shuzo, Okada Atsushi, Mizuno Kentaro, Tozawa Keiichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro, Yasui Takahiro:
  • 雑誌名: International Journal of Urology 巻: 22 ページ: 978-80
  • DOI: 10.1111/iju.12860
  • 査読あり
• [雑誌論文] Laparoscopic versus open radical cystectomy for patients older than 75 years: a single-center comparative analysis. (2015)
  • 著者名/発表者名: Yasui Takahiro, Tozawa Keiichi, Ando Ryosuke, Hamakawa Takashi, Iwatsuki Shoichiro, Taguchi Kazumi, Kobayashi Daichi, Naiki Taku, Mizuno Kentaro, Okada Atsushi, Umemoto Yukihiro, Kawai Noriyasu, Sasaki Shoichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro
  • 雑誌名: Asian Pacific Journal of Cancer Prevention 巻: 16 ページ: 6353-6358
  • DOI: http://dx.doi.org/10.7314/APJCP.2015.16.15.6353
  • 査読あり
• [学会発表] Image guided percutaneous access: What is the best approach? Fluoro guided Vs. Ultrasound guided. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hamamoto Shuzo, Yasui Takahiro
  • 学会等名: EASE 2015
  • 発表場所: Manila（Republic of the Philippines）
  • 年月日: 2015-11-26 – 2015-11-28
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 尿路結石分子標的治療を目指した網羅的遺伝子解析によるRandall’s Plaqueの発症制御遺伝子の同定。 (2015)
  • 著者名/発表者名: 田口 和己、浜本 周造、海野 怜、宇佐美 雅之、伊藤 靖彦、広瀬 真仁、安藤 亮介、岡田 淳志、藤田 圭治、戸澤 啓一、安井 孝周、郡 健二郎
  • 学会等名: 日本尿路結石症学会第25回学術集会
  • 発表場所: ロワジールホテル旭川（北海道旭川市）
  • 年月日: 2015-08-28 – 2015-08-29
• [学会発表] eterminants of health-related quality of life for patients after urinary lithotripsy: ureteroscopic versus shock wave lithotripsy. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hamamoto Shuzo, Yasui Takahiro, Okuda Naoko, Koiwa Satoshi, Okada Atsushi, Kamiya Hiroyuki, Hashimoto Yoshihiro, Tozawa Keiichi, Iwase Yutaka, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: American Urological Association Annual Meeting 2015
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] Genetic diagnosis trial by single nucleotide polymorphism analysis from a case-control study, using three novel loci associated with susceptibility to urolithiasis from a genome-wide association study (GWAS) (2015)
  • 著者名/発表者名: Yasui Takahiro, Okada Atsushi, Usami Masayuki, Hamamoto Shuzo, Ando Ryosuke, Itoh Yasunori, Tozawa Keiichi, Sasaki Shoichi, Hayashi Yutaro, Sato Yoshikazu, Higashi Yoshihito, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: American Urological Association Annual Meeting 2015
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] 尿路結石の分子機構の解明と溶解療法に向けた研究戦略 (2015)
  • 著者名/発表者名: 安井 孝周、田口 和己、濵本 周造、岡田 淳志、戸澤 啓一、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢 他（石川県金沢市）
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21
  • 招待講演
• [学会発表] 尿路結石の破砕効果を高める正しい修得法。 (2015)
  • 著者名/発表者名: 岡田 淳志、田口 和己、安藤 亮介、安井 孝周、梅本 幸裕、河合 憲康、戸澤 啓一、佐々木 昌一、林 祐太郎、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢 他（石川県金沢市）
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21
• [学会発表] シュウ酸カルシウム結石の発生母地「Randall’s Plaque」の制御因子同定による尿路結石分子標的治療の開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 田口 和己、海野 怜、濵本 周造、安藤 亮介、金本 一洋、岡田 淳志、安井 孝周、藤田 圭治、戸澤 啓一、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢 他（石川県金沢市）
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21