研究課題/領域番号 |
25462520
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
遠藤 純央 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30646823)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40326153)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966)
新美 和寛 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70551274)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 尿路結石 / cyclophilin D / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究ではcyclophilin D欠損マウスを用いて、尿路結石の形成初期におけるcyclophilin Dの作用を分子レベルでの解明とし、cyclophilin Dを不活化させることによる尿路結石の予防薬の開発を目的としている。 8週齢雄のcyclophilin D欠損マウス群(n=10)と野生型マウス群(n=10)にシュウ酸の前駆物質であるグリオキシル酸(80mg/kg)を6日間連続で腹腔内投与を行い、その後、腎を摘出した。摘出した腎組織(腎尿細管細胞)において結石形成量を測定したところ、cyclophilin D欠損マウス群では野生型マウス群に比べて有意に結石形成量が少なかった。次にMDAやSODの免疫染色を腎組織に行い酸化ストレスの評価を行った。cyclophilin D欠損マウス群では野生型マウス群に比べて酸化ストレスの発生が抑制されていた。また透過型電子顕微鏡にて両群のミトコンドリアの形態を観察したところ、cyclophilin D欠損マウス群ではミトコンドリアの形態は保たれていたが、野生型マウス群ではミトコンドリアは膨化・崩壊している像が認認められた。 これらの事から、cyclophilin Dが不活化することにより、ミトコンドリアの崩壊、酸化ストレスの発生が抑制されて、尿路結石形成も抑制される事が推測された。更にcyclophilin Dの作用が解明されれば、cyclophilin Dを不活化させることによる尿路結石の予防薬の開発へとつながると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、cyclophilin D欠損マウスを用いて、尿路結石の形成過程におけるcyclophilin Dの作用を分子レベルで検証して解明することに関して、研究実績の概要で述べたごとくの実験結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に引き続き、cyclophilin Dの活性化・ミトコンドリアの崩壊に起因する結石形成機序の解明を進める。Fas、FasL、Caspase8、Bax蛋白をターゲットとした免疫組織染色、PCR、ELISA、Western botting法での経時的な発現状態を確認し、cyclophilin Dの活性化・ミトコンドリアの崩壊に至るプロセスの中で最も重要な経路を特定する。更に特定した経路で分子レベルでの阻害が可能かを検証することを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じたが、その金額は比較的低額と考えます。生じた理由は実験に仕様した試薬の購入が予定よりも少なかったこと、人件費が予定よりもかからなかったことが考えられます。 引き続き実験に必要な試薬、学会発表を行う際の旅費に充てる予定です。
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