研究課題/領域番号 |
25462522
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高田 麻沙 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60468254)
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研究分担者 |
窪田 泰江 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381830)
井村 誠 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (00551269)
柴田 泰宏 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10534745)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 前立腺肥大症 / GDNF / 間質増生 / 前立腺 |
研究概要 |
前立腺肥大症の発生機序は、これまで有用なモデルが無く解明が困難であった。近年私たちは、胎児泌尿生殖洞を成体ラットに移植することで、ヒトに類似した間質優位前立腺肥大モデルを作成することに成功した。GDNFは神経栄養因子として同定され、腎の発生、神経細胞の分化と生存に関わるとともに、胎生期特異的に泌尿生殖洞(前立腺原器)に発現している。泌尿生殖洞の移植で間質主体の前立腺肥大モデルが得られる事実と、初期分化能の再獲得が前立腺肥大発生に寄与するという仮説(reawakening theory)から、私たちはGDNFの前立腺における働きに着目した。 私たちはこれまでに、ヒト前立腺肥大症にGDNFが発現し、ヒト前立腺サイズとGDNF受容体遺伝子の発現量に正の相関があることと、正常前立腺由来の培養細胞にGDNFおよびその受容体が発現していることを確認した。さらに、GDNFによりその下流で誘導される遺伝子として知られるGZF1(GDNF inducible zinc finger protein 1)やSEP1などの経路の活性化を定量PCR法で検討した結果、これらについてもヒト前立腺のサイズに正の相関を持つことが明らかとなった。今後、間質優位前立腺肥大症モデルにおけるGDNFの役割の詳細を明らかにするため、GDNFの受容体の下流経路の詳細を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私たちはこれまでに、ヒト前立腺肥大症にGDNFが発現し、ヒト前立腺サイズとGDNF受容体遺伝子の発現量に正の相関があることと、正常前立腺由来の培養細胞にGDNFおよびその受容体が発現していることを確認した。さらに、GDNFによりその下流で誘導される遺伝子として知られるGZF1(GDNF inducible zinc finger protein 1)やSEP1などの経路の活性化を定量PCR法で検討した結果、これらについてもヒト前立腺のサイズに正の相関を持つことが明らかとなった。これらより、GDNFを介したシグナル伝達系が前立腺肥大に関与している可能性が高まったと考える。今後、前立腺肥大症と、GDNFを介したシグナル伝達経路の詳細についてさらに検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、間質優位前立腺肥大症モデルにおけるGDNFの役割の詳細を明らかにするため、GDNFの受容体の下流経路の詳細を検討する予定である。具体的には、GDNF下流の誘導遺伝子とリン酸化経路の解析として、GDNF誘導遺伝子として知られるGZF1(GDNF inducible zinc finger protein 1)やSEP1などの経路の活性化を定量PCR法で検討する。また、GDNFは受容体と結合後にRET癌原遺伝子に結合することから、その下流のリン酸化経路(RAS、RAF、MEK、AKT、mTOR等)をwestern blotting法にて検討する。また、ヒト前立腺肥大組織における同経路の活性化を同様に確認する予定である。 また、GDNFとその阻害薬を用いたin vitro, in vivoにおける増殖能に対する影響を検討する。GDNFの増殖能に対する役割を検討するため、ヒト前立腺由来細胞株および間質優位前立腺肥大症モデルに対してGDNFおよびその阻害薬を投与し、上記リン酸化経路の活性と、誘導遺伝子の増減について検討すると共に、WST1 assay法などを用いて増殖能についての変化を確認する予定である。 さらに、 前立腺肥大症モデルに高発現するタンパク質のスクリーニングと機能の解析を行う。過去に私たちが行ったmRNA microarrayの結果から、前立腺肥大発生の原因にはGDNFとRET癌原遺伝子を介する経路の他に、複数の経路の活性化が予想される。間質優位前立腺肥大症モデル発生の詳細を解明するため、タンパク質レベルでの網羅的解析を計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度中心的に行ってきたGDNF下流で誘導される遺伝子の定量解析において、予想よりも顕著な正の相関が得られたため、予定していたよりも消耗品の購入額が減少した。 GDNFの下流経路のリン酸化レベルの検討、タンパクレベルの解析にむけて、培養細胞を用いて検討を行う予定であるが、健常なヒト由来の細胞であるため、ロット毎に結果がばらつくことが予想される。このため、細胞株変更の可能性があり、必要に応じて前記余剰予算を用いて細胞株による反応性の変化を検討する。また、その際に生じた抗体、試薬の不足を補うために、前記余剰予算を振り分ける予定である。
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