研究課題
研究の実施計画に従い今までに、『培養上皮シートの細胞学的検証および強度・伸展性の検討』では、培養した口腔粘膜上皮シートは、非角化性の性質を有し、いわゆる水分環境に対して強い性質を有する非角化性の粘膜上皮であることを確認した。『培養上皮シートの細胞学的検証および強度・伸展性の検討』では、培養シートが不可逆的変化を起こすまでの進展性及び強度は、正常尿管の3分の2程度であることが示された。さらに、尿管の形成を目的に培養シートをウサギ腹腔内の腹壁に移植する実験を行い、正常に血流補給をうけることを確認した。27年度は、『実験動物における尿路再建の可能性の検討』における『尿管形成の実験』と、『経過観察によるデータ収集』における『組織学的に発がんと萎縮』の検討を行った。実験結果は、移植した培養口腔粘膜が、尿管のごとく管状の状態を保ち、かつ移植した腹壁および腹膜などの周囲の組織からの血液の供給をうけて生着したことを確認した。 この結果により、培養口腔粘膜シートを用いて尿管形成術の可能性が確認された。また、『経過観察によるデータ収集』として、組織学的に粘膜の状態を保持し、短期間ではあるが発がんや 組織の萎縮のないことも確認した。さらに、『シートの十分な量の確保や保存方法の検討』に関しては、尿管形成には十分な量の培養口腔粘膜シートの確保が可能となった。