研究課題/領域番号 |
25462527
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
山西 友典 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90220425)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来間葉系細胞 / 下部尿路障害 / 腹圧性尿失禁 / 尿漏出時圧 / 陰部神経切断モデル / 膣過伸展モデル |
研究概要 |
平成25年度は、下部尿路障害モデルを作成して尿漏出時圧(Leak Point Pressure; LPP)の測定法を確立し、確立した手法にて脂肪組織由来間葉系細胞の投与実験に着手した。 1.下部尿路障害モデルの作成:陰部神経切断モデルと膣過伸展モデルを確立した。陰部神経切断モデルでは、内総腸骨動脈の腹側を横切る神経を骨盤神経と同定し、骨盤神経と交差して内総腸骨動脈の背側を走る神経を陰部神経と同定した。当該神経を5~7mm切除し、陰部神経切断モデルを作成した。膣過伸展モデルでは、フォーリーカテーテル(6Fr)を膣に挿入してバルーンに蒸留水を3ml注入し、この状態で4時間留置した。 2.LPP測定法の確立:測定直前にT8-T9レベルで脊髄を離断し、膀胱内圧測定用に膀胱頂部にカテーテルを留置した。測定はラットをスリングスーツに固定し、覚醒状態で実施した。膀胱カテーテルを圧トランスデューサに接続し、外尿道口より尿が漏出するまで生食を3ml/minで膀胱内に急速注入した。これを1分間隔で8回実施し、その平均値を尿漏出時圧(LPP)とした。A/D変換器を通した信号はPower Lab Chart®コンピュータソフトウェアにてグラフ化した。 陰部神経切断モデルでは、対照群と比較して切断直後及び4週間後にLPPの低下はみられなかった。その原因として、神経切断に伴う平滑筋の代償作用があるとの報告があったため、LPP測定時に平滑筋をブロックするHexamathoniumの投与前後でLPPを測定した。Hexamathoniumの投与前後でLPPの低下が確認されたため、平滑筋の代償が起こっている、すなわちモデル作製は報告通り機能していることが分かった。一方、膣過伸展モデルでは、対照群と比較してモデル作成直後、4及び7日後にLPPが約20%低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、ラットにおける下部尿路障害(腹圧性尿失禁)モデルを作成して尿漏出時圧(Leak Point Pressure; LPP)の測定法を確立することである。そのために陰部神経切断モデルと膣過伸展モデルの2つを作成し、尿漏出時圧を測定したが、どちらのモデルにおいても尿漏出時圧が低下し、低下している期間を決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度からは、これまでの結果をコントロールとして、脂肪組織由来間葉系細胞の移植実験を行い、尿漏出時圧低下が回復するか否かを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究の初年度であり、全額使用できるまでの研究ができなかった。 平成26年度以降は実際に動物より脂肪組織由来間葉系細胞の投与を行い実験するので、ラットより自家鼠蹊部脂肪組織を採取し、酵素消化にて回収、さらに外尿道口周囲を取り囲む外尿道括約筋に直接投与するなどの実験が必要である。
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