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2013 年度 実施状況報告書

結石マトリックスタンパク質プロテインZの動脈硬化における役割の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25462528
研究機関帝京大学

研究代表者

金子 希代子  帝京大学, 薬学部, 教授 (90147075)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード尿路結石 / マトリックスタンパク質 / プロテインZ / 結晶の凝集
研究概要

シュウ酸カルシウム結石に特徴的に存在するプロテインZ(PZ)は血液凝固に抑制的に働いて血栓の形成を抑えることが期待される。本研究の目的は、プロテインZが、尿路結石の形成において、また、高尿酸血症など動脈硬化に関連する病態において、どのような役割を演じているかを探索することである。
平成25年度における研究計画は、尿路結石の形成におけるPZの役割を in vitro で調べることであった。そのために、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)結晶の凝集実験を開始した。それに先立ち、PZがシュウ酸カルシウムを結石成分とする結石に特異的に存在することを、混合結石を分析することで再確認した。シュウ酸カルシウムと炭酸カルシウムの混合結石、および、シュウ酸カルシウムと尿酸の混合結石を微細分析した結果、シュウ酸カルシウムを成分とする結石からはPZが検出され(Kaneko K et al: Int J Urol 21: 341-346, 2014)、PZがシュウ酸カルシウム結石の形成に何らかの役割を果たす可能性を確信した。
COM結晶の凝集実験は細胞解析装置を用いた前方散乱と側方散乱を時間経過に伴って観察する計画であった。しかし、COM結晶の成長とCOM結晶の凝集を別々に観察する必要があることが判明したため、顕微鏡での観察と分光光度計による濁度およびシュウ酸濃度変化を測定する方法に切り替えて、方法を確立した。現在、これらのCOM結晶生成・凝集測定系に、シュウ酸カルシウム結石から検出しているタンパク質であるPZ、オステオポンチン、プロトロンビン、リゾチームを、濃度を変えて添加して、COM結晶生成と凝集に与える影響を調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COM結晶の凝集実験は、当初、以前に尿酸の結晶化過程で確立した細胞解析装置を用いた方法で経時的に測定する予定であった。しかし、COM結晶の成長とCOM結晶の凝集を別々に観察する必要があることが判明したため、結晶生成はCOM結晶の面積の増加とシュウ酸濃度の減少で測定し、結晶の凝集はCOM結晶の凝集個数とその大きさ(長さ)および濁度の減少で計測する方法に変更した。顕微鏡観察はズーム顕微鏡を用いて行い、シュウ酸濃度と濁度の測定は分光光度計により、各々、220nmと620nmの波長を用いて測定することとした。これらのCOM結晶生成・凝集測定系に、PZ、オステオポンチン、プロトロンビン、リゾチームを、濃度を変えて添加して、COM結晶生成と凝集に与える影響を調べている。
交付申請時には、平成25年度に結石マトリックスタンパク質とCOM結晶間の分子間相互作用を解析する計画であったが、この実験は遅れている。その理由は、平成25年度前半に混合結石の分析を行って、PZがシュウ酸カルシウム結石に特異的に含まれることを再確認したため、結晶凝集実験のとりかかりが遅れたためである。また、分子間相互作用を解析する装置にCOM結晶を流すことができないことが判明したため、結石マトリックスタンパク質間の相互作用を確認するなど、少し解析方法を変更する必要が生じている。

今後の研究の推進方策

平成25年度にCOM結晶生成・凝集実験の方法を確立したので、平成26年度は、引き続いて、このCOM結晶生成・凝集測定系に、PZ、オステオポンチン、プロトロンビン、リゾチームを、濃度を変えて添加して、COM結晶生成と凝集に与える影響を調べる。これらのマトリックスタンパク質の単独での影響、およびこれらを混合して添加した時の変化についても確認する。さらに、結石マトリックスタンパク質とCOM結晶間の分子間相互作用に関しては、結石マトリックスタンパク質間の相互作用を確認するなど、少し方針を変更する必要が生じているが、実施する予定である。
さらに、尿路結石症患者における尿中および血中のプロテインZの濃度を測定した報告なないことから、これらの測定を行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

研究の遂行にあたり、試薬(特に高価なタンパク質)などの消耗品を、多種類にわたり、かなりの量を購入する必要があるため。
(1)COM結晶生成・凝集測定実験では、タンパク質などの試薬を購入する。
(2)分子間相互作用の解析のために、タンパク質をコーティングしたチップを作成する必要があり、この実験にかなり研究費を費やす必要があると考えられる。
(3)尿路結石症の患者サンプルを測定するにあたっては、測定キットを購入するため、その費用も必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Proteomic analysis of a rare urinary stone composed of calcium carbonate and calcium oxalate dihydrate: A case report.2014

    • 著者名/発表者名
      Kiyoko Kaneko, Yosuke Matsuta, Manabu Moriyama, Makoto Yasuda, Noriharu Chishima, Noriko Yamaoka, Tomoko Fukuuchi, Katsuhito Miyazawa, and Koji Suzuki.
    • 雑誌名

      International Journal of Urology

      巻: 21 ページ: 341-346

    • DOI

      10.1111/iju.12282, 2013

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭酸カルシウムとCODから成る尿路結石の結晶成分分析およびプロテオーム解析

    • 著者名/発表者名
      地島宜玄、金子希代子、松田陽介、森山 学、桝田絢子、安田 誠、山岡法子、福内友子、宮澤克人、鈴木孝治
    • 学会等名
      日本尿路結石症学会 第23回学術集会
    • 発表場所
      東京

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公開日: 2015-05-28  

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