研究課題
膀胱平滑筋細胞は尿の保持および排泄機能を維持するうえで重要な細胞で、この細胞の機能不全は膀胱の刺激状態(過活動膀胱)や排尿筋の収縮不全(低活動膀胱)を引き起こす、特に低活動膀胱では排尿筋収縮能は改善が難しく、収縮能を補うような薬剤の開発も遅れている。ヒト膀胱平滑筋不死化を行うことで、膀胱平滑筋の再生が可能となり、低活動膀胱の治療法として有効と考えられる。我々は市販のヒト膀胱平滑筋細胞を用いて培養条件の検討を行ってきた結果、CDK4R24, Cyclin D1, hTERTの3遺伝子を、レンチウィルスベクターを使って初代培養膀胱平滑筋細胞に導入したところ、population doublingsが50を超えるまで増殖を続けることを確認した。この細胞の特長を示す。1)細胞分裂の速さは20時間以内と非常に速く、分化条件下では増殖停止する細胞およびゆっくり増殖する細胞が多くなる。2)培養9-12日で細胞は、紡錘型となりアクチン線維が発達する。3)αSMA, γSMA, Calponinの発現は、分化培養下で増大する。4)増殖培地中ではアクチンストレス線維が形成されるが、構成アクチンは、βCYA(cytoplasmic actin)が主体。5)分化培地中では、アクチン線維が発達し、構成アクチンはαSMAが主になる。6)AChR(M2)は、分化未分化状態とも、大量に発現しているが、AChR(M3)は少ない。7)カルシウムイオノフォアA23187 5 μMによって細胞は急速に縮む。8)90mM KCl による、電位依存性カルシウムチャンネルの開口により細胞内Ca濃度が上昇する。9)Connexin43は細胞接触部位に分布しており、Gap junctionを形成していると思われる。この不死化細胞は障害を受けた膀胱平滑筋細胞の再生医療や排尿障害の新たな薬剤の開発に寄与するものと考えられる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 8件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件)
Low Urin Tract Symptoms
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