研究課題/領域番号 |
25462532
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石戸谷 滋人 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00344656)
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研究分担者 |
海法 康裕 東北大学, 大学病院, 講師 (30447130)
高瀬 圭 東北大学, 大学病院, 准教授 (60361094)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原発性アルドステロン症 / 副腎静脈サンプリング / 腹腔鏡手術 |
研究概要 |
研究初年度にあたり、「副腎静脈サンプリングに基づく機能温存手術の探求」に向けて研究分担者海法康裕等は手術症例の蓄積に努めた。従来の腹腔鏡下全摘術のみならず、選択的な副腎静脈サンプリングを遂行することにより着実に部分切除(=機能温存)の症例が増加してきている。右副腎内の血管分枝は上枝、水平枝と下降枝の3枝に分かれること、左副腎は1本の枝が縦走することがほぼ明らかになった。これらの枝に選択的にカテーテルを進めてサンプリングを行うことにより、CT画像における腺腫の局在とは別個に、アルドステロンを過剰分泌する責任領域のマッピングが可能となる。このマッピングをガイドに、症例を選んで機能温存―腹腔鏡下副腎部分切除術を重ねている。 研究分担者高瀬圭は選択的な副腎静脈サンプリング技法の確立に向けて専用マイクロカテーテルの開発を遂行している。さらに副腎静脈サンプリング技法の普及に向けて精力的に啓蒙活動、技術指導を行っている。 研究代表者石戸谷滋人は副腎腹腔鏡手術の実施に加えて、研究チーム全体の統括を行っている。具体的には、データベースを管理して手術後のアウトカムを分析、高血圧の改善治癒を追跡している。 初年度の成果から、原発性アルドステロン症における手術戦略として、「信頼性の高い副腎静脈サンプリングの結果に基づけば、従来の腹腔鏡下全摘術に代わって部分切除術が標準治療として適応される症例が存在すること、その内分泌学的アウトカムは全摘術と同等であること」の強い感触を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の研究グループは原発性アルドステロン症患者に対して研究分担者高瀬圭(放射線科)の協力の下、他施設では施行が難しい選択的副腎静脈サンプリングを継続的に行い得ている。その結果を下にした従来の全摘手術に変わる機能温存手術(部分切除術)の症例集積が順調であることから、研究期間内に解析・成果発表が可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き原発性アルドステロン症に対する機能温存手術の症例を蓄積していく。そのアウトカム(高血圧や他の臓器障害の進行抑制・改善)が全摘手術と比較して非劣性であることを明らかにしたい。前回の基盤C研究(22591804)で我々の発表してきたデータの多くは、標準治療として「原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン-2009-」に採用された。本研究の成果も新たなエビデンスとして採用されることを期待している。 また、川崎芳英を新たに研究分担者に加えることとし、研究体制の強化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果蓄積中であり、成果発表の旅費や論文執筆・投稿にかかる費用が次年度に持ち越しとなったため。 平成25年度に得た成果発表とさらなる情報収集目的で、国際学会(2014.4月 第29回ヨーロッパ泌尿器科学会総会:ストックホルム、2014.9月 国際泌尿器内視鏡学会総会:台北)、国内学会へ参加する。それらのデータ、成果を解析するための電子機器やソフト類(コンピューター関連)を購入する。英文誌(International Journal of Urologyを予定)への論文投稿費用も想定している。 未使用金は平成26年度分と合わせて使用する。
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