研究課題/領域番号 |
25462543
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩井 聡美 北里大学, 獣医学部, 講師 (30566542)
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研究分担者 |
大園 誠一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00183228)
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 研究員 (00245044)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
高山 達也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90324350)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎臓移植 / マージナル腎 / 間葉系幹細胞 / LacZ-Luc Transgenic rat / ラット腎移植モデル / バイオイメージングシステム |
研究実績の概要 |
生体間や脳死ドナーからの臓器と違い、適用限界症例(marginal)からの臓器は深刻な虚血/再還流障害が生じ、機能不全や遅延が高率に起こる。先ずはmarginal腎臓移植モデルを作成し(Iwai S., et al. PLoS One. 2012;7:e33157)、間葉系幹細胞(MSC)を適用して移植時における機能改善効果について検討することを目的とした。細胞移植に使用したMSCはLacZ-Luciferase double transgenic ratの脂肪組織から採取、培養された細胞株であった。このラットより得られたMSCは、バイオイメージングシステムIVISを用いて細胞の存在する位置を画像で検出することが可能であり、ラットが生存している状況下でMSCの体内動態を経時的に追跡した。また、LacZ染色により組織でのMSC局在を病理組織学的検査によって解析した。MSCの投与方法は、①ラットマージナル腎移植モデルを用いてMSCを移植直後に陰茎静脈より全身投与または、②移植直前に腎動脈から局所投与することでその効果を検討した。全身投与ではIVISにて肺に集積する像が得られ、肺塞栓症の発生が器具された。一方、局所投与では再還流後も移植腎に停留する像が得られた。全身投与と比較して局所投与では、マージナル腎を移植されたレシピエントでより生存性が高まる傾向と腎機能の早期改善傾向が示された。MSCは局所投与では静脈内投与よりも安全に使用することが可能である可能性を示唆した(Iwai S. et al. Transplantation Proceedings. 2014;46:1578-84.)。 これを受け、腎臓病の多い猫へスケールアップしての実験を試みた。ラットで実施したような実験のプロトコールを応用し、猫でもマージナル腎移植モデルを作成した。移植手技は確率できたが、脂肪由来間葉系幹細胞の樹立に予想以上の時間を要し、移植手技とマージナル腎への適応まで至らなかった。今後の検討課題が明確化してきた段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まで、マージナル腎移植モデルを用いて、MSCの投与法、投与細胞数などの安全性の確認はある程度確定できたと考えられる(Iwai S., et al. PLoS One. 2012;7:e33157, Iwai S. et al. Transplantation Proceedings. 2014; 46(5): 1578-84.)。これを受けて本年度は、中型実験動物である猫においての実験を試みた。猫も腎臓病の多い動物である。そのため、人の腎移植モデルとしては適切であると考えられている。ラットで実施したような実験のプロトコールを応用し、猫でもマージナル腎移植モデルを作成した。移植手技は確率できたが、脂肪由来間葉系幹細胞の樹立に予想以上の時間を要し、移植手技とマージナル腎への適応まで至らなかった。今後の検討課題が明確化してきた段階である。
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今後の研究の推進方策 |
中型動物である実験猫を用いたマージナル腎移植モデルの作成まではほぼ確立することができたと考えている。そこに用いる脂肪組織由来間葉系幹細胞の樹立に想定以上の時間を要したため、このMSCをマージナル腎移植モデルに適用するところまでいたることができなかった。本年度は、これらを組み合わせるところまで推進・実施することができれば、実用的な結果として得られるものと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験猫を用いたマージナル腎移植モデルにMSCを実際適用する実験まで進行できなかったということが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
実験猫のマージナル腎移植モデルを作成し、実際にMSCを投与する実験を実施する。その際に必要な細胞培養液、手術に必要な消耗品の購入に必要となる。
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