研究実績の概要 |
過去、申請者はマイクロサージェリー技術を修得し、ラット腎移植モデルを確立した(Iwai S. et. al. Transplantation. 2006;82(6);27;804-812.)。この腎移植法は、顕微鏡下手術による手縫い法で、血管や尿管を縫合するという臨床に近い、極めて高度な技術を必要とする方法を採用した。この後、このモデルを応用した心停止後の腎臓移植モデルの確立にも成功している(Iwai S. et. al. PLoS One. 2012;7(3):e33157., Iwai S. et. al. Transplantation proceedings, 2014;46(5):1578-1584.)。従来、摘出臓器や組織の代謝または酸素要求量を減少させるために低温保存する事が臨床現場において一般的であるが、申請者らは心停止後のmarginal臓器の保存法として常温保存法が有効である事を明らかにした(Iwai S. et. al. PLoS One. 2012;7(3):e33157., Kaimori J. et. al. PLoS ONE. 2012;7(10):e45833. )。この方法をブタを用いて検証することを実施した。ブタを心停止したのち長時間(90分以上)経過した腎臓を摘出し、灌流液で灌流した。されに、この腎臓をブタへ移植し、レシピエントの腎臓を摘出して、その後の経過を観察した。排尿状況、生体内での移植腎の状態(超音波検査、MRI検査)、血液検査(血清尿素窒素、クレアチニン、全血球検査)を実施したところ、排尿は認められ、一時的な血液生化学的検査値の上昇はあったものの正常値近くまで回復し、ブタを用いたモデルの確立の可能性が示唆された。
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