研究課題
Plk4遺伝子はserine-threonine kinase をコードしており、Plk familyの一つであり、体細胞分裂後期の進展に必須である。Plk4はマウスにおいて細胞分裂過程における中心小体の複製機能を有する。近年、Plk4 にヘテロにmutationをもつマウスがその精巣のサイズが減少し、また組織学的にgerm cellの完全な消失を呈しSCOSによる無精子症を示すことが明らかにされた。そこで、私はヒトPLK4遺伝子がヒトSCOSの原因遺伝子かどうか解析した。対象は組織学的にSCOSと診断された無精子症患者であり、coding regionをダイレクトシークエンスしmutation解析を施行し、検出したmutationをもつ配列および正常配列を融合発現ベクターに挿入し細胞にトランスフェクションし、一過性の発現を行い中心小体の複製の変化を解析した。mutation解析の結果、SCOS患者においてPLK4のドメイン内に13bp に及ぶヘテロのdeletionを検出し、このdeletion によりframe shiftがおこり、コードされるアミノ酸は正常の970個からわずか85個のみとなり、functional domainは本来のわずか21%しか存在しなかった。また機能解析では正常PLK4を導入された細胞は著明に中心小体が増加しているのに対し、mutationを持つ配列ではコントロールと中心小体の数が変化せず、mutationによりPLK4遺伝子の機能が失われていることが判明した。
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