研究課題/領域番号 |
25462548
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉山 隆 東北大学, 大学病院, 准教授 (10263005)
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研究分担者 |
木村 芳孝 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40261622)
井原 基公 東北大学, 大学病院, 助教 (50403506)
菅原 準一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (60280880)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妊娠 / インスリン抵抗性 / 炎症 |
研究概要 |
妊娠モデルマウスを用いて妊娠時のインスリン抵抗性発生に脂肪組織における炎症様変化が関与する可能性を示した。すなわち、妊娠末期にM1マクロファージ浸潤増加を伴う脂肪細胞の肥大化が生じ、炎症性アディポカイン(TNF-α, IL-6)の発現増加と抗炎症性サイトカイン(アディポネクチン)の減少を来たした。また脂肪組織における糖輸送担体の発現も低下することが判明し、インスリン感受性組織におけるインスリン抵抗性に関与することが示唆された。また肥満モデルマウスを用いて検討した結果、母体の耐糖能およびインスリン抵抗性は対照群に比し悪化し、正常妊娠母獣の表現型が増悪することが明らかとなった。すなわち肥満母獣では、脂肪細胞のさらなる肥大化およびM1マクロファージの浸潤増加を認め、各種アディポカインの変化はIRを増悪する変化を生じた。また胎仔のインスリン抵抗性も増大することも判明した。具体的には、肥満母獣の仔の皮下脂肪細胞の肥大化とM1マクロファージの浸潤増加およびTNF-α遺伝子発現の増加、アディポネクチンの低下を伴った。今年度は上記の母獣と胎仔に関する検討まで行うことができ、これらの実績は論文として発表することができた。 現在、中等度高脂肪食摂餌母獣の次世代への影響に関して検討を進めている。次世代の検討として10週齢と24週齢の雄性マウスの表現型を検討しており、これらの結果より、次年度の計画を決定し、進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度に実施する計画であった中等度高脂肪食摂餌マウスモデルを既に確立し、論文により報告することができたからである。したがって平成26年度の計画予定を既に開始できており、研究の進行状況は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に計画していた内容で一部脂肪組織以外の臓器の検討や遺伝子発現やタンパク発現の検討が残っており、これらを施行する必要がある。また炎症シグナルに関与するTRL-4のアンタゴニストによる効果や抗炎症に作用すると考えられるn-3脂肪酸である魚油投与による効果を検討することにより、治療戦略の方策を立てる検討にステップアップする予定である。 すなわち、近年のわが国の妊娠可能年齢女性の食習慣である中等度高脂肪食が母体および胎児、さらに次世代に及ぼす影響に関し、表現型だけを検討する研究に踏みとどまるのではなく、次世代の生活習慣病発症の予防戦略をたてる研究に進めることが、本研究の推進方策の肝であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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