研究実績の概要 |
近赤外線分光法による母体脳の酸素動態モニタリングの臨床応用に向けた臨床検討を行った。近赤外線時間分解分光法を使用した妊婦脳の総Hb、オキシHb、デオキシHbならびに脳組織酸素飽和度の測定技術は、我々がその技術を確立した方法であり学術雑誌に掲載された(Yamazaki K, Suzuki K et al, Cerebral oxygen saturation evaluated by near-infrared time-resolved spectroscopy during caesarean section; Clin Physiol Funct Imaging. 2013 Mar;33(2):109-16)。この方法を用いて、帝王切開時ならびに分娩時を中心として、妊婦の脳酸素のモニタリングを行ってきた。帝王切開時の測定においては、従来の経皮的末梢血酸素飽和度測定法では検出できない母体脳組織の低酸素状態の検出に成功し、危機的産科出血時の新しい母体モニタリング法として成果を発表したる。すなわち、母体脳のTRS法による脳組織酸素飽和度は平均約65%であるが、出血時には60%あるいはそれ以下となることが判明した。分娩時の測定においては、陣痛発来後、妊婦が子宮収縮とともに怒責をかけると同時に、妊婦の脳ヘモグロビン量が一時的に増加し、怒責の終了と同時に元の状態に戻る減少を捉えることに成功し、成果が学術雑誌に掲載された。(Suzuki K, Itoh H et.al: Measurement of maternal cerebral tissue hemoglobin on near-infrared time-resolved spectroscopy in the peripartum period. J Obstet Gynecol Res 41(6)876-83,2015)
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