研究課題
がん治療は長足の進歩を遂げ、小児がんや若年性がんの経験者の長期生存は若年性がん患者の長期生存は珍しい事ではなくなった。しかし、がん治療のための化学療法や放射線療法により早発閉経や将来の妊孕性を失う事が少なくない。心理学研究において、寛解した若年性がんの経験者は治療10年後に自身に子供がいない事に対して後悔と怒りを感じるという事が報告されている。近年、多くの先進国において小児を含めた若年性がん患者のQOLの向上にために妊孕性温存の選択肢について説明するべきとの考え方が浸透しつつある。パートナーがいる女性の場合は、胚(受精卵)を凍結保存する事が技術的には最も安定している。パートナーがいない、もしくは女児の場合は未受精卵子の凍結保存もしくは卵巣組織の一部を凍結保存する方法しかない。初経前の女児では卵巣組織の凍結保存のみが唯一の選択肢である。未受精卵子の凍結保存はもはや実験的な手技ではないと2006年の米国生殖医学会から勧告された。しかしながら、生児獲得率は2.8-5.4%と胚凍結と比較して未だ充分な効率とはいえない。卵巣凍結は米国生殖医学会でも未だ研究レベルとされているものの、一方で他に選択肢がないために将来の技術の進歩を期待して保存されている症例も多くある。凍結保融解した卵巣の移植により生児を獲得するまでになかなか至らない原因の1つとして移植卵巣片に対して血流が充分でないためではないかと仮定し、移植卵巣片に積極的に血管新生を促進する戦略について研究を行った。血管新生を促すため物質Xを徐放する生体分解性物質を用いて作成したシートを作成し、凍結融解マウス卵巣組織をマウスに移植する実験系においてこれを最適化した。婦人科良性および悪性疾患により卵巣を摘出する患者から同意を得て提供された卵巣組織を凍結融解し、免疫不全マウスに移植する実験系においてこのシートをさらに最適化する事に成功した。
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