研究概要 |
先のゲノムワイドDNAメチル化解析、トランスクリプトーム解析研究において正所性子宮内膜間質細胞(euESC)に比較して、卵巣チョコレート嚢腫間質細胞(choESC)では多くの遺伝子でメチル化異常、mRNA発現異常が起こっていることを明らかとした。そこで我々はこれらの中でDNAメチル化とmRNA発現が共通して変化している遺伝子に着目し、検討を行った。KEGGパスウェイ解析からchoESCでは性ステロイド産生に関与する多くの遺伝子発現が亢進していることが判明したため、それらの遺伝子の一部 (NR5A1, STAR, STRA6, HSD17B2)に着目し、詳細なDNAメチル化とmRNA発現を検討した。まず多検体(子宮内膜間質細胞、組織)におけるmRNA発現解析に関しては、正所性内膜に比較し、卵巣チョコレート嚢腫ではNR5A1, STAR遺伝子では高発現、STRA6, HSD17B2遺伝子では低発現であった。上述4遺伝子のプロモーター領域を中心にDNAメチル化状態をbisulfite sequencing 法で解析したところ、NR5A1, STAR遺伝子ではchoESCで異常な低メチル化状態、STRA6, HSD17B2遺伝子では異常な高メチル化状態であった。多検体を用いたhigh resolution melting解析でもほぼ同様の結果が得られた。 一方、子宮内膜症発症メカニズムの一端を明らかにする目的で、ダイオキシンの子宮内膜細胞に対する作用を検討した。培養正所性子宮内膜間質細胞にダイオキシンを添加し、ゲノムワイドDNAメチル化プロファイル変化について、infinium法 (Humanmethylation450k)を用いて検討を行ったが、有意な変化を認めなかった。
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