研究課題/領域番号 |
25462561
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
秦 利之 香川大学, 医学部, 教授 (20156334)
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研究分担者 |
金西 賢治 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263906)
田中 宏和 香川大学, 医学部, 准教授 (80207125)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 4D ultrasound / Fetal facial expression / Fetal behavior / Fetal emotion / Fetal awarenss / Inter-twin contact / KANET score |
研究概要 |
最初に妊娠25~27週の正常胎児24例について4D超音波を用いて15分間観察を行い、7つの表情の頻度について評価した(Int J Gynecol Obstet 2013;121:257-260)。その結果、この時期では有意にMouthingとYawningの頻度が多いことを明らかにした。次に、妊娠20~24週でも同様の評価を行った(Int J Gynecol Obstet 2014, in press)。その結果、やはりMouthingとYawningの頻度が有意に多いことが明らかとなった。さらに、妊娠20~34週の57例について検討したところ、MouthingとSuckingはこの期間でその頻度に変化が認められなかったが、他の5つの表情の頻度は妊娠週数が進むにつれて有意に増加することが明らかとなった(Int J Gynecol Obstet 2014, in press)。以上より、胎児は妊娠後半期には、生後新生児にとって生きていくために最も重要となる哺乳行動の準備をしていることが示唆された。また、scowlong,smilingなどの複雑な表情の頻度が妊娠週数とともに増加していくのは、胎児の大脳の発達および成熟を意味していることを明らかにした。 さらに、HDliveを用い、胎児の表情、あるいは小さな異常を従来の3D/4D超音波よりも鮮明に抽出できることを明らかにした(J Med Ultrasonics 2013;40:437-441.; J Med Ultrasonics 2014;41:109-110.; Donald School J Ultrasound Obstet Gynecol 2014, in press.; J Med Ultrasonics 2014. doi.1007/s10396-014-0523-2)。 現在、妊娠35週以降の症例を37例収集し、解析を行う予定であり、また妊娠28週以降の胎児発育不全症例も20症例ほどデータをとり、今後さらに症例数を増加させる予定である。 一方、KANETテストについても現在データを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
妊娠20週以降の胎児表情の特徴を明らかにすることができ、またその意義についても示すことができた。さらに、妊娠満期の症例をすでに収集し解析を行うのみの状況であり、胎児発育不全症例も順調に集まっている状況である。 胎児中枢神経系の機能評価法であるKANETテストについても、日本で初めて導入し、現在その有用性についてデータを収集中である。また、HDliveを用い、より鮮明な胎児表情の観察が可能であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
①妊娠35週以降の胎児表情を解析し、その特徴を明らかにすること。 ②妊娠28週以降で、正常胎児と発育不全胎児との表情の頻度の違いを明らかにすること。 ③日本におけるKZNETテストの有用性について評価すること。 ④胎児が痛み、あるいはストレスを感じる状況(音刺激時、侵襲的胎児治療時、双胎妊娠における接触時など)での胎児表情の変化および胎動の変化を同時に観察することによる本研究の最終的な目的である胎児の新しい発達評価法を確立すること。
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