研究課題/領域番号 |
25462574
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80317198)
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研究分担者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90286534)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / 子宮内膜幹細胞 / 上皮間葉転換(EMT) / Side Population W5C5 |
研究概要 |
【1】子宮内膜幹細胞候補同士の関係および細胞系譜の解明 SP細胞、W5C5+細胞、CD146+PDGFRβ+細胞といった子宮内膜幹細胞候補について各々の細胞群の比較検討は行われていないのが現状である。そこで、我々がこれまでに確立してきた研究手法を用いて、それぞれの内膜幹細胞候補を分離し、それぞれの細胞群が発現している遺伝子やタンパク質を比較し細胞系譜を検討することで、幹細胞ヒエラルキーにおける位置付けを行うことを目標とした。方法としては、(1)一つのヒト子宮内膜検体から分散内膜細胞を調整し、フローサイトメトリーによりSide Population(SP)細胞、W5C5+細胞、CD146+PDGFRβ+細胞を分離するとともに表面抗原解析を行い相互関係の解明を目指した。また、(2)我々の開発した内膜症モデルマウス(Masuda et al. PNAS 2007)を作成し、モデル病変のW5C5免疫染色を行った。 (1) フローサイトメトリーによるヒト子宮内膜SP細胞にはCD146+PDGFRβ+細胞がenrichされていることが確認できた。また、W5C5の発現についてはSP細胞と非SP細胞を比較した際に、有意差がでなかった。 (2) 内膜症モデルマウスの作成については、移植部位において100%の確率でモデル病変が作成され、HE染色にて子宮内膜様腺管構造も確認した。しかし、W5C5の染色については一切陽性細胞が確認されなかった。検体は4%PFAにて固定したパラフィン切片であったが、我々の用いたW5C5抗体がパラフィン切片では使用できない可能性があり、凍結切片にて再度染色する予定とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の研究開始時期が遅れてしまったことに加え、ヒト子宮内膜検体はホルモン療法を施行していない良性疾患に対する手術の検体から採取しているが、その検体自体の数も少なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、【1】子宮内膜幹細胞候補同士の関係および細胞系譜の解明として、各子宮内膜幹細胞候補のヒト子宮内膜組織内での位置関係を免疫組織染色の2重染色等にて解析することを目指す。また同時に、内膜症モデル病変での位置関係も確認し、異所性に再生した内膜ではどのような動態を示すかを解析する。正所性と異所性の内膜で幹細胞候補の位置関係等を比較することから、内膜症における幹細胞の役割を検討する。そして、内膜症モデルマウスにBrdUを打ち込みLabel retaining cellsの解析を行うことで、異所性内膜(内膜症病変)における幹細胞の役割をさらに探求する。 その後は、内膜症とEMT/METの関係を証明するため研究実施計画にそって【2】子宮内膜症における子宮内膜幹細胞の役割に関する検討の項に順次移っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。 次年度の研究費と併せて消耗品購入に充てる予定である。
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