研究課題/領域番号 |
25462576
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 准教授 (00338451)
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研究分担者 |
長谷川 潤一 昭和大学, 医学部, 講師 (80365775)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胎児治療 / 強出力集束超音波 |
研究概要 |
強出力集束超音波(High intensity focused ultrasound; HIFU)を用いた胎児治療における、照射機器および照射条件などに関しては、より高精度にし、かつ超音波強度の低減化するなど、改良の余地がある。本研究の目的は新たに作成した機器の試用および超音波強度低減化の条件に関する知見を集積することである。ターゲットを正確に認識する目的で中央に診断用探触子を配置したHIFUトランスデューサーを作成し、新たにトリガー照射を採用した。トリガー条件はPRFを10Hzに,HIFU強度を1.2,1.7kW/cm2に設定した。HIFU照射中も画像を可視化するため超音波休止時間を9ms設けた。JWラビットの腎葉間動静脈を照射対象とした。静脈麻酔下でカラードプラで腎葉間血流を描出し、HIFUの10秒間照射をドプラで血流が消失するまで繰り返した。実験終了後に腎臓を摘出しHE染色で観察した。本実験は動物実験委員会の承認を得て行った。HIFU照射中も画像をリアルタイムで観察できた。1.2kW/cm2では動脈に狭窄および空胞変性が認められたが静脈には変化は見られなかった。1.7kW/cm2では動脈に空胞変性を認め更に閉塞が確認された。静脈においても空胞変性及び血栓形成が認められ閉塞が確認された。新たに作成した治療器では照射中もその部位をリアルタイムで観察できることが確認された。トリガー照射はHIFU強度を低減化でき、更に動静脈を同時に遮断できることが確認された。本治療機器および照射条件は、これまで以上に高精度かつ低侵襲の胎児治療を可能にすると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では25年度中に改良型治療器を完成させ、動物実験を行い、TRAP sequence症例へ治療を開始する予定であった。25年度は動物実験は予定通り終了しTRAP sequenceへ応用する前段階まで研究は終了した。研究遅延の理由として治療機器に必要な脱気冷却装置を海外から購入するにあたり時間を要したこと、および電源の変換に時間を要したことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は25年度で新たに改良作成した次世代型HIFUトランスデューサー(脱気冷却装置を内蔵し、画像用プローブをHIFU振動子の中央に配したトランスデューサー)用いてTRAP sequence症例に対して胎児治療を行う。当初は胎児胸水や胎児閉塞性尿路障害に対してもHIFU治療を想定していたが、前者に対しては本年度より胎児胸腔羊水腔シャント術が保険治療として収載されたこと、後者に対しては疾患そのものにシャント術の有効性が疑問視されてきていることから、同疾患に対してはHIFU治療は行わない方針と研究を変更し、確実に胎児適応がることがコンセンサスの得られており、さらに現在行われている治療に比べ確実に低侵襲であるHIFU治療が最も有効であるTRAP sequenceに的を絞り、症例数を出来だけ多くする予定とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
その他として学会参加費を予算に計上していたが参加予定であった学会に参加しなかったため当該助成金が生じた。 来年度の学会参加に使用予定である。
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