研究課題
昨年度までに実施された遺伝子発現及びDNAメチル化解析の結果から、非ナイーブ様幹細胞は発生初期の神経幹細胞様の性質を持つことを明らかにした。そこで今年度は、非ナイーブ様幹細胞の神経幹細胞としての機能を解明するために、種々の神経細胞への分化能について以下の通り評価を行った。神経幹細胞は、その未分化性のレベルから順に、LIF-dependent primitive NSC(LIF依存性未分化神経幹細胞)、FGF2-dependent definitive NSC(FGF2依存性神経幹細胞)、EGF-dependent definitive NSC(EGF依存性神経幹細胞)と段階的に発生していくことが知られている。本研究で樹立された非ナイーブ様幹細胞は、LIF存在下で高い可塑性と増殖能を維持しており、LIF依存性未分化神経幹細胞に極めて近い性質を保持していると推察された。また、非ナイーブ様幹細胞はドーパミン産生神経細胞および運動神経細胞などのニューロンへ高効率で分化することが確認でき、ES細胞から分化誘導させたFGF2依存性神経幹細胞よりも高い分化能を持つことが示された。加えて、非ナイーブ様幹細胞はグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)への分化能を持つことも観察された。また、非ナイーブ様幹細胞は単細胞からも高い増殖能を維持して増やすことが確認できたことから、効率的な遺伝子編集が可能であることが判明した。これらの成果は、非ナイーブ様幹細胞を用いることにより神経疾患モデル細胞を人工的に作製できることにも繋がり、神経疾患における病態解明や創薬研究にも多大に貢献できると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Clinical Investigation Insight
巻: 2 ページ: e86492
10.1172/jci.insight.86492
細胞培養の基礎知識と細胞培養基材の利用・開発の留意点
巻: - ページ: 70-84