研究課題/領域番号 |
25462585
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松本 光司 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30302714)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子宮頸がん / ヒトパピローマウイルス |
研究概要 |
臨床進行期1b1期以上の子宮頸癌患者 276名について、新たに開発され体外診断薬としての承認を得たクリニチップHPVキットを用いてHPVタイピング検査を行った。すべての症例で組織診 (生検および手術検体) の中央診断を行った。HPVタイプ別の子宮頸癌の病態解析では、HPVタイピングが行われなかった症例やHPV16とHPV18の両方に陽性の症例を除いた262例を以下の3群に分類して臨床データを解析した。 1) HPV16型陽性患者 (H16群: HPV16と他の型との重複感染例を含む、N=124) 2) HPV18型陽性患者 (H18群: HPV18と他の型との重複感染例を含む、N=59) 3) HPV16/18型陰性患者 (N16/18群:HPV16/18以外のハイリスクHPV陽性患者、N=79) 頸癌患者の平均年齢はH16群 (47.4歳±13.0) とH18群 (46.0歳±11.2) ではN16/18群 (53.6歳±14.8)と比較して有意に若かった (t検定: 各々P=0.003, P=0.002) 。各群のあいだで臨床進行期には差が認められなかったが、腺癌・腺扁平上皮癌・小細胞癌などの非扁平上皮癌の割合はH18群 (58.2%) ではH16群 (21.0%) や N16 /18群 (25.3%) と比較して圧倒的に高かった (χ2検定: いずれもP<0.0001)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
結果を得るまでに時間のかかる中央病理診断を本年度中に終えることができた点でまずまずの進行状況であるが、本年度中に終了する予定であったHPVタイピング検査が未検査の症例もしくは再検査の必要のある症例が残っている点でやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ホルマリン固定後のパラフィン切片からもDNA抽出・HPVタイピング検査を行いHPVタイプを確定できる症例を増やす。すでに採取されている血清を用いて各種腫瘍マーカーの測定と予後データの収集を行う。その後は、データ解析を行い、英文論文として発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の症例でHPVタイピング検査が未検で持ち越しとなったため。また、HPVタイピング検査を行った症例ではある程度まとまった数を一度に外注検査に依頼したため検査代を割り引いてもらえ、当初の予定よりも検査費用を節約できたため。 26年度は、まずHPVタイピング検査を行いHPVタイプを確定できる症例を増やす。腫瘍マーカーの測定も行う。検査費用を節約できた分で、HPV16陽性患者においてはE6変異解析や次世代シーケンサーを用いた準種解析を検討する。
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