研究課題
本研究では難治性で好転移性の子宮体癌の診断・新規分子開発をテーマとした。MELF型類内膜癌は術前検査で想定された以上に深い浸潤を来し、リンパ節への転移を来す。予後について一定の見解を得ていないのは術後病理診断に基づいているためと考え、どれほど想定以上の進展を示すものがあるかを検討し、IA期相当の高分化型類内膜癌の15%でIB期以上の病変を認めることを見出し、論文発表した。さらに造影MRIでの内膜下造影の断裂像に加えて、腫瘍周囲に現れる薄く不整な強調像が浸潤を検出に有効であることを明らかにし、論文発表した。IA期相当の高分化型類内膜癌には腹腔鏡手術が保険適用となっており、警鐘としてこれらの内容について招請講演を行った。子宮体癌の発生母地となる子宮内膜における転移抑制シグナルメタスチンとGPR54の月経周期に応じた変化についての検討成果を論文発表した。若年の早期子宮体癌では、高用量プロゲステロン投与にて妊孕性温存治療が行われる。内因性のエストロゲンと長期プロゲステロン投与により子宮内膜間質細胞から産生されたメタスチンが転移を防ぐ可能性が示され、深部浸潤が明らかではないMELF型でも通常治療に高用量プロゲステロン投与を追加する有効性が期待される。この結果については二つのシンポジウムで招請講演した難治性子宮体癌として特殊組織型があり、子宮体癌の約10%を占める。その代表と言える漿液性腺癌について自家および外部データのマイクロアレイ解析から新規ドライバー分子を同定し、その機能解析成果をまとめて、論文発表およびシンポジウム演題として口演した。また海外学会で発表したのを機に標的治療の共同研究も始まり、引き続き治療の開発に取り組んでいる。別の特殊組織型として癌肉腫についても国際共同研究にて病態・予後・治療効果について学会発表および論文発表を行った。以上、研究費を用いて研究を大きく推進した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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