研究課題
卵巣癌は診断時には進行例が多く、手術のみでは完治せず、化学療法が必須である。しかし、化学療法を行っても、効果がない症例があり、その選別が重要である。またいったんは化学療法が奏功しても、再発し、最終的には薬物療法抵抗性となることが多い。卵巣癌の中で、卵巣高異型度漿液性腺癌(high-grade serous ovarian carcinoma; HGSOC)は、最も頻度が高く、予後不良の組織型である。そこで、我々は、HGSOCに対する、薬物療法感受性のバイオマーカーの探索、および、新規薬物療法の開発を研究の目的とした。まず、自施設におけるHGSOC症例の病理組織像を検討すると、癌細胞が間質にばらけて浸潤する像を示す腫瘍は予後不良で、多数のリンパ球が浸潤する腫瘍は予後良好であった。The Cancer Genome Atlas (TCGA)データセットにおいて、卵巣漿液性腺癌の遺伝子変異、コピー数異常、遺伝子発現マイクロアレイデータを解析すると、遺伝子発現プロファイルによる分類が最も予後と関連していた。我々は、自施設のHGSOCの遺伝子発現マイクロアレイデータと比較検討し、HGSOCの遺伝子発現プロファイルを反映する病理組織細分類を樹立した。さらに、その分類がパクリタキセル感受性と相関することを示した。パスウェイ解析の結果、卵巣漿液性腺癌において、BMPシグナルががん細胞の増殖亢進させることを見出した。そして、BMPシグナル経路阻害剤が治療薬として有望であることを示した。
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