研究課題/領域番号 |
25462594
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大石 徹郎 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (80359877)
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研究分担者 |
紀川 純三 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (00177784)
板持 広明 鳥取大学, 医学部, 講師 (20314601)
島田 宗昭 鳥取大学, 医学部, 助教 (40362892)
佐藤 慎也 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10423261)
千酌 潤 鳥取大学, 医学部, 助教 (70467702)
佐藤 誠也 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30621007)
原田 省 鳥取大学, 医学部, 教授 (40218649)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 明細胞腺癌 / PIK3CA / PI3K阻害剤 / mTOR阻害剤 |
研究概要 |
1.基礎的検討 卵巣明細胞腺癌(CCC)細胞株8株および漿液性腺癌(SAC)細胞株5株を用いてPIK3CA遺伝子、KRAS遺伝子変異の有無を検索し、CCC4株でPIK3CA遺伝子変異を、SAC1株でKRAS遺伝子変異を検出した。CCC細胞株はSACと比してPI3K/mTOR阻害剤NVP-BEZ235に対して高い感受性を示した。CCCにおいて、mTOR阻害剤temsirolimusに対するIC50値はBEZ235に対する値よりも高かった。PIK3CA遺伝子変異の有無とこれら薬剤に対する感受性との間に一定の傾向は見いだせなかった。Western blot法によるPI3K-Alt-mTOR経路の蛋白発現検索の結果、CCCではpHER3およびpAkt発現を高頻度に認めたが、発現レベルと薬剤感受性との関連はみられなかった。CCCにおいてTemsirolimus曝露によりpAkt蛋白は増加したが、BEZ235曝露では抑制された。BEZ235曝露により細胞周期のG1期停止が観察されたが、アポトーシスの誘導にはより高濃度の曝露が必要であった。CCC細胞のヌードマウス皮下移植モデルにおいて、BEZ235の連日経口投与は腫瘍発育の有意な抑制を示した。 以上の成績を論文とし、英文学術誌に採択された(Oishi et al. Oncol Rep 2014; in press)。 2.臨床的検討 鳥取大学医学部附属病院で初回治療を行ったCCC患者およびSAC患者より文書による同意を得て手術時に摘出した腫瘍の一部を凍結保存を行った。過去の研究で同意が得られ、腫瘍組織が保存されている症例のうち、将来、他の研究で使用することについても包括的同意が得られている症例も含めて、CCC31検体、SAC36検体を集積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的検討についてはPI3K-Akt-mTOR経路に絞り込んでin vitro のみならず in vivo の実験まで進めて、その成果を論文発表するところまで達成した。臨床的検討については検体の集積段階ではあるが、これは研究初年度として計画どおりの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
他医療機関にも働きかけ、臨床検体のより一層の集積をに努めるとともに、免疫組織化学あるいはFISH、シーケンスなどの手法を用いた具体的な検討を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の物品費のうち、設備備品として高感度ケミルミイメージングシステムの購入を計画していたが、学内施設の備品を借り受けることが可能となったため、購入を中止した。 備品として培養細胞の凍結保存容器を更新する(老朽化が著しく、10年以上前の製品で修理交換パーツもメーカーに在庫がないため)。その他、試薬などの消耗品費、旅費は当初の計画通りとする。
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