研究課題/領域番号 |
25462598
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長井 裕 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70305209)
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研究分担者 |
戸板 孝文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30237036)
稲嶺 盛彦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90437989) [辞退]
久高 亘 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (50529336)
大山 拓真 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40713350) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子宮頸部腺癌 / 同時化学放射線療法 / 多施設共同研究 / 第Ⅲ相試験 / シスプラチン / パクリタキセル / 観察研究 |
研究実績の概要 |
本研究課題「子宮頸部腺癌Ⅲ・ⅣA期に対する同時化学放射線療法の多施設前向き臨床試験」は特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍研究機構(以下、JGOG)において平成24年8月にプロトコルコンセプト承認後、JGOG子宮頸がん委員会において繰り返し検討が行われ、本研究課題の内容に記載した「第Ⅱ/Ⅲ相試験」を発展させ「第Ⅲ相試験」として平成25年11月2日にJGOG理事会で、研究タイトル「局所進行子宮頸癌に対するシスプラチンを用いた同時化学放射線療法(Concurrent chemoradiotherapy:CCRT)とシスプラチンとパクリタキセルを用いたCCRTに関する多施設共同ランダム化第Ⅲ相比較試験」を「子宮頸がん研究JGOG1074」(以下、JGOG1074)として承認された。その後、実施計画書の作成をすすめ、平成26年6月2日JGOG1074実施計画書Version1.0が完成した。その後、平成26年7月16日に研究代表者が所属する琉球大学臨床研究倫理審査委員会において「JGOG1074」が承認され平成26年9月から症例登録が開始された。 症例の集積が想定を大きく下まわる状況であったため、平成27年10月までにJGOG参加全施設に登録促進依頼および症例集積が不調である原因究明/改善のためのアンケート調査を2回施行した。その調査結果からJGOG1074の症例集積を完遂するにはプロトコル改訂/改正では対応できない点が明らかとなり、平成27年12月JGOG承認のもとJGOG1074試験を発展的に中止とした。 しかし、手術不能な進行した子宮頸部腺癌の予後改善のため新規治療の確立は急務であるため新規前向き試験の基盤となる子宮頸部腺癌に関する全国調査研究の準備を開始した。平成28年4月24日にJGOG子宮頸がん委員会おいて「子宮頸部腺癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)に関する観察研究」のプロトコルコンセプトが承認された。平成28年8月にフルプロトコル承認がえられた後に観察研究を開始するため、現在フルプロトコルの作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請研究課題において平成25年度内にフルプロトコルを完成し、IRB承認後の平成26年1月~3月に第Ⅱ相試験を開始する予定であった。実際は、「JGOG1074」として多施設共同第Ⅲ相試験として試験が開始された。遅れの理由として、以下の4点が上げられる。 1)第Ⅱ相試験として開始する予定であったが、発展的に第Ⅲ相試験として質の高い試験に引き上げることに関してJGOGの子宮頸がん委員会、効果安全委員会、倫理委員会、理事会等によって科学的根拠、安全性、倫理的な面から議論する時間が必要であったこと。 2)「JGOG1074」は、これまで世界で行われていない局所進行子宮頸部腺癌に特化した臨床試験であり、そこにtranslational researchを加え基礎医学的側面の検討を追加し、局所進行子宮頸部腺癌の放射線治療抵抗性、化学療法抵抗性に関する科学的新知見を追究するプロトコル作成においてもJGOGの各種委員会において議論を要したこと。 3)国際共同多施設第Ⅲ相試験に発展させる可能性を探るため、英国において平成25年度に開催された国際会議でのプレゼンテーションおよび本邦開催の国際学会期間中に行ったミーティング等からの情報が国際共同試験の実現性を判断するために必要であったこと。 4)「JGOG1074」が開始された後の症例集積が想定を大きく下まわった。その原因究明のためJGOG全施設に2度調査を行い、その結果、症例集積完遂がプロトコル改訂/改正では対応できないことが明らかになり「JGOG1074]を発展的に中止とした。 しかし、今後の前向き研究の基盤となる子宮頸部腺癌に関する全国調査研究の準備を開始し、平成28年4月にJGOG子宮頸がん委員会にて「子宮頸部腺癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)に関する観察研究」プロトコルコンセプトの承認がえられた。現在、フルプロトコルの作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
想定を大きく下まわる症例集積のため「JGOG1074」を発展的中止としたが、予後不良である進行子宮頸部腺癌に対する新規治療の確立は急務である。 今後の前向き研究の基盤となる子宮頸部腺癌に関する全国調査研究の準備を開始してきた。平成28年4月24日にJGOG子宮頸がん委員会にて「子宮頸部腺癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)に関する観察研究」プロトコルコンセプトの承認がえられた。現在、8月開催のJGOG理事会承認のため、フルプロトコルの作成を進めている。承認後、速やかに観察研究を開始予定である。 この観察研究の目的は、今後の前向き臨床試験の候補である、1)パクリタキセルとシスプラチンを用いたCCRT(以下、TP-CCRT)単群の検証的試験、2)必要症例数を低めに設定した第2.5相試験、3)TP-CCRTの探索的試験(第2相試験)の基盤を固めることである。具体的には新規前向き試験をデザインするにあたり、子宮頸部腺癌に限定した標準治療の信頼性のある既存データが乏しいため閾値の設定が困難である。そこで標準治療のヒストリカルデータを得ることを目的に、今後試験に参加予定のJGOG施設を対象とした観察研究を行う。また、TP-CCRTのデータも不十分なため同時に収集し期待値の設定の参考とする。なお、3)の試験デザインによりTP-CCRTが有望な試験治療であることが示唆された場合には、韓国、台湾等のアジア諸国との国際共同第3相試験を検討する基盤とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
「JGOG1074」の症例集積状況が予測を下まわっていたことから、平成27年度半ばには研究期間の延長のみで「JGOG1074」を継続可能か、もしくは「JGOG1074」の発展的中止かつ新規試験の立ち上げを検討する必要性がでてきた。 2度にわたるJGOG全施設への調査結果から「JGOG1074」を発展的中止として新規試験の立ち上げを平成28年度に行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
「子宮頸部腺癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)に関する観察研究」の準備を進めてきた。平成28年4月24日に、新規試験のコンセプトがJGOG子宮頸がん委員会の承認を受け、フルプロトコル作成に取りかかっている。フルプロトコル承認までに必要な会議・学会等への出張旅費への使用、および新規観察研究遂行に必要な物品等の購入、人件費、謝金等の支払いに使用する予定である。
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