研究実績の概要 |
1.子宮頸部病変のHPVタイピング:書面により同意を得た子宮頸部異形成および子宮頸癌患者から得られた組織検体を用い、DNAを採取し、HPVタイピングを行った。症例は35例。これらの検体をそれぞれのHPV型に特異的なPCRプローブを用いて13種類の型を検出・分類した。この中でHPV16型が49%と約半数を占めていた。 2.HLA-A24結合モチーフを持つペプチドの作成:日本人ではHLAのA LocusではA24を有している割合が56%と最も高く、ペプチドワクチンを作成するうえで最も効率が良いと考えられる。そこで本研究ではこのHLA-A24をターゲットとして研究を進める。HPV16 E6E7の塩基配列からHLA-A24結合モチーフを持つペプチドをE6、E7で合成した。この中で E6-由来の E6 66-74)は ELISPOT assay にてHPV16陽性患者のCTLに強い細胞障害性を示したが、E6 49-57, E6 82-90, E6 87-95, E6 98-106、E7 83-93の反応は弱かった。 3.E5E6E7 融合遺伝子の作製:HPV16陽性ヒト子宮頚癌細胞株であるCaSki由来のcDNA を用いて、RT-PCR 法にてHPV16 E5,E6,E7遺伝子をそれぞれ増幅し、E5E6E7 融合遺伝子を作製。これを発現ベクター pCAGGS に組み込み、pCAGGS/E5E6E7を作製した。 4.OML-HPVの作成:発現ベクターが抗原提示細胞へ効率よく取り込まれるようオリゴマンノースリポソーム(OML)内に、融合遺伝子を包埋した(OML-HPV)。OML-HPVは樹状細胞に代表される抗原提示細胞に取り込まれ、内因性たんぱくとして腫瘍抗原が発現し、プロセッシングを受けたペプチドがMHC I分子上で提示されることによりCTLが誘導され抗腫瘍効果が発揮されることを期待された。
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