研究課題
前年度は,annexinA4 (A4) タンパク質のうち,等電点電気泳動をすることで判別できる酸性型-annexinA4 (acidic-A4)と塩基性型- annexinA4 (basic-A4)の2種類のサブタイプのうち,acidic-A4が明細胞腺がん細胞のプラチナム系抗がん剤耐性に関わる一方で,basic-A4はパクリタキセル耐性に関与する可能性を示す結果を得た.そこで,本年度は,acidic-A4,basic-A4の質的な違いを明らかにすべく,A4-タンパク質の免疫沈降による濃縮と,質量分析によるアミノ酸配列や翻訳後修飾などの相違解析を試みた.残念ながら市販の抗A4抗体での免疫沈降や,FLAG-Tagを付加したA4タンパク質の発現と抗FLAG抗体での免疫沈降を試みたが,いずれも免疫沈降による濃縮はできなかった.そこで, A4タンパク質によるパクリタキセル耐性機能に注目して解析を進めた.これまでの我々の研究で,A4依存性にパクリタキセル耐性を示すbasic-A4優位型の明細胞腺がん細胞OVISEが, A4発現をshRNAでノックダウンされると,並行してlysosomal associated membrane protein 2 (LAMP2)タンパク質の発現が減弱することを見いだしている.パクリタキセル耐性がアポトーシスによる細胞死シグナルをオートファジーに変換することで生ずるとの結果が乳がん細胞を使ったin vitroの研究で示されていることから,外科切除卵巣がん組織を用いた免疫染色による関連タンパク質の発現解析を行った.明細胞腺がんを含む複数の組織型の卵巣がんでLAMP2の高発現が観察され,また,beclin-1,APG16Lなどのオートファジー関連遺伝子の高度な発現も認められた.現在,annexinA4発現強度との相関を解析している.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Thromb Haemost
巻: 115 ページ: 299-310
10.1160/TH15-03-0213
Gynecol Oncol
巻: 140 ページ: 253-256
10.1016/j.ygyno.2015.12.008
Int J Gynecol Pathol
巻: 35 ページ: 106-117
10.1097/PGP.0000000000000228
Am J Obstet Gynecol
巻: 213 ページ: 1-9
10.1016/j.ajog.2015.02.016
Anticancer Res
巻: 35 ページ: 4849-4854
J Obstet Gynaecol Res
巻: 41 ページ: 99-106
10.1111/jog.12500
Br J Dermatology
巻: 172 ページ: 1014-1020
10.1111/bjd.13357
Mol Cancer
巻: 14 ページ: 77
10.1186/s12943-015-0351-z
Cancer Epidemiol
巻: 39 ページ: 700-706
10.1016/j.canep.2015.08.001