研究概要 |
健常人末梢血単核球をα-GalCerにて刺激することによってα-GalCer特異的ヒトVα24 iNKT細胞の増殖を誘導した。これから高速自動セルソーターを使用して、Vα24+Vβ11+6B11+ヒトiNKT細胞を精製分離し、7-9日おきに複数回刺激することで株化した。一方、健常人末梢血単核球よりCD14+モノサイトを磁気分離した。これにIL-4, GM-CSFを添加して6日間培養することで樹状細胞(DC)を誘導した。iNKT細胞は、主にCD4+CD8β-とCD4-CD8β-の2つの主要なサブセットから構成されていた。この細胞は、IFN-γ, TNFα, IL-4, IL-5, IL-10, IL-13を産生し、腫瘍血管形成に促進的なIL-17を産生しなかった。iNKT細胞とDCを共培養してDCが産生するIL-12ファミリーサイトカイン(IL-12, IL-23, IL-27, Osteopontin)を評価したところ、α-GalCerでiNKT細胞を刺激した場合には、DCにおけるIL-12とIL-27が産生上昇し、IL-23とOsteopontin産生が低下することが明らかとなった。以上より、iNKT細胞はDCと相互作用することでIL-12産生を誘導して細胞性免疫応答を促進する。一方、IL-23とosteopontinの産生を低下させ、癌の増殖に適した環境を改善しうることが明らかとなった。IL-27は、Th1分化に促進的であると言われているが、一方でIL-10を産生して免疫抑制を示すTr-1細胞の分化に関与することが知られている。現在、iNKT細胞とDCの相互作用により産生促進されるIL-27が免疫応答性を如何に制御しうるのか解析中である。
|