研究課題
NKT細胞を活性化すると「がん」の進行が抑制されることが知られている。この効果は、主にNKT細胞と樹状細胞 (DC) の相互作用によって誘導されるIL-12が重要であり、これの下流で細胞傷害性T細胞 (CTL) やナチュラルキラー (NK) 細胞が活性化することによるものと考えられてきた。しかしながら、NKT細胞の活性化によって得られる抗腫瘍効果は極めて強力であり、他の因子が関与する可能性が示唆されてきた。卵巣癌組織は、炎症状態にあり、細胞性免疫応答が著しく抑制されている。NKT細胞機能を応用して、免疫抑制状態を解除できれば、予後不良の卵巣癌患者の生命予後を改善することが可能となる。本研究課題は、NKT細胞のアジュバント効果を詳細に解析し、「卵巣癌」に認められる免疫抑制状態を解除しうる新たな作用点を探索する。これを用いて免疫抑制機構を解除するとともに細胞性免疫応答を惹起する新たな免疫療法を開発することを目的とした。健常人末梢血単核球をα-galactosylceramide (α-GalCer) にて刺激してα-GalCer特異的ヒトインバリアントNKT (iNKT) 細胞の増殖を誘導した。高速自動セルソーターを使用して、ヒトiNKT細胞を精製分離し、7-9日おきに複数回刺激することで株化した。これとヒトモノサイト由来DCとの共培養を行い、DCが産生する液性因子を解析した。NKT細胞は、α-GalCerを負荷したDCにおけるIL-27産生を促進した。また、NKT細胞由来のIFN-gammaがIL-27産生に重要な役割を演じることを明らかにした。NKT細胞はDC機能を修飾してIL-27産生を促進することで、がん免疫応答に促進的に作用することが示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Cancer Immunol Res.
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10.1158/2326-6066.CIR-14-0117
日本女性骨盤底医学会誌
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