• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

異所性子宮内膜症から卵巣明細胞癌および類内膜腺癌への悪性転化機構に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 25462611
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

赤羽 智子  慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40398699)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード卵巣癌
研究実績の概要

近年の研究より、卵巣癌は卵巣本体より発生する単一の性質をもった疾患ではなく、組織型により発癌起源細胞や発癌機序が異なることが解明されている。主な上皮性腫瘍のうち、漿液性腺癌は卵管上皮の異型細胞が卵巣本体に移行して発症するとされ、類内膜および明細胞癌は卵巣に発生する子宮内膜症嚢胞病変に含まれる異所性子宮内膜症上皮細胞が起源であり、粘液性癌は消化管または子宮頸部の癌細胞が移行して発症するなど異なることが明らかとなった。卵巣癌は婦人科腫瘍の中でも比較的進行して発見される症例が多く予後や生存率が低い。その理由として卵巣は腹腔内に存在するため、体表面からの検診や細胞採取等が困難であり、検診には向かない臓器であることがあげられる。このような背景から卵巣癌早期発見を目指した臨床応用可能な技術の開発が望まれる。
そこで本研究では、卵巣癌の発症機序について発癌起源細胞の特性を遺伝子および蛋白レベルで解析することで、患者負担が少なく卵巣癌の早期発見に有用な新規検査法の確立を目指すことを目的としている。今年度は卵巣癌の中でも最も発生頻度が高い漿液性癌に対し、卵管上皮細胞のp53蛋白発現とTP53遺伝子変異を非卵巣癌例、BRCA遺伝子変異保持者にてリスク低減両側卵管卵巣摘出術施行例(以下RRSO例)、BRCA遺伝子変異陽性で卵巣癌発症例の各症例における細胞形態学的に異型の無い卵管上皮細胞についてp53の特性を検討した。その結果、RRSO例および卵巣癌例の卵管上皮細胞には、細胞異型が無くともp53蛋白の高発現と特定部位のアミノ酸変化を伴うTP53遺伝子変異が検出され、当該遺伝子変異は同一症例の卵巣癌細胞でも検出された。本解析結果から、卵管上皮細胞には形態学的に異型はなくとも症例によって前癌病変に近い変化が起きていることが解明された。これより、卵巣癌早期発見には症例ごとに異なる個別のサーベーランスが必要であると考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Polymorphisms of estrogen metabolism-related genes ESR1, UGT2B17,2015

    • 著者名/発表者名
      Megumi Yokota, Akira Hirasawa, Kazuya Makita, Tomoko Akahane, Kensuke Sakai, Takeshi Makabe, Yuko Horiba, Wataru Yamagami, Mariko Ogawa, Takashi Iwata, Shigehisa Yanamoto, Ryota Deshimaru, Kouji Banno, Nobuyuki Susumu, Daisuke Aoki
    • 雑誌名

      Prz Menopauzalny

      巻: 14(3) ページ: 161-167

    • DOI

      10.5114/pm.2015.54339. Epub 2015 Sep 30

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Osteoporosis is less frequent in endometrial cancer survivors with hypertriglyceridemia2015

    • 著者名/発表者名
      Akira Hirasawa, Kazuya Makita, Tomoko Akahane, Wataru Yamagami, Takeshi Makabe, Megumi Yokota, Yuko Horiba, Mariko Ogawa, Shigehisa Yanamoto, Rhota Deshimaru, Eiichiro Tominaga, Kouji Banno, Nobuyuki Susumu, Daisuke Aoki
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Clinical Oncology,

      巻: 45(1) ページ: 127-131

    • DOI

      doi: 10.1093/jjco/hyu164. Epub 2014 Oct 16

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 婦人科疾患バイオバンクの現状と家族性腫瘍のスクリーニングに関する検討2015

    • 著者名/発表者名
      赤羽智子、平沢 晃、増田健太、真壁 健、坂井健良、吉浜智子、山上 亘、野村弘行、片岡史夫、阪埜浩司、進 伸幸、青木大輔
    • 学会等名
      第1回 日本産科婦人科遺伝子診療学会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2015-12-18 – 2015-12-19
  • [学会発表] 慶應義塾大学医学部産婦人科におけるバイオバンク2015

    • 著者名/発表者名
      赤羽智子、平沢 晃、増田健太、野田朋美、西尾 浩、仲村 勝、山上 亘、森定 徹、野村弘行、片岡史夫、岩田 卓、田中京子、冨永英一郎、鈴木 淳、阪埜浩司、牧田和也、進 伸幸、青木大輔
    • 学会等名
      第60回 日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都新宿区)
    • 年月日
      2015-10-14 – 2015-10-17
  • [学会発表] 細胞診標本中に出現する微量細胞からの遺伝子解析2015

    • 著者名/発表者名
      赤羽智子、平沢 晃、冨永英一郎、青木大輔
    • 学会等名
      第56回 日本臨床細胞学会総会(春期大会)
    • 発表場所
      松江テルサおよびくにびきメッセ(島根県松江市)
    • 年月日
      2015-06-12 – 2015-06-14
  • [学会発表] BRCA1/2遺伝子生殖細胞変異例における良性卵管上皮細胞のp53蛋白発現とTP53遺伝子変異の意義2015

    • 著者名/発表者名
      赤羽智子、平沢  晃、増田健太、片岡史夫、冨永英一郎、阪埜浩司、進 伸幸、田中 守、青木大輔
    • 学会等名
      第67回 日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2015-04-10 – 2015-04-12

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi