研究課題/領域番号 |
25462615
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
矢内原 臨 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20349624)
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研究分担者 |
落合 和徳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20152514)
山田 恭輔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30230452)
高倉 聡 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60256401)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1IL-6/STAT3シグナル / IL-6受容体 / 卵巣明細胞腺癌 |
研究概要 |
卵巣明細胞腺癌では、腫瘍が産生するIL-6が高発現であることが確認されており、IL-6/STAT3シグナルの亢進状態が腫瘍の特性に関与していることが予測されている。しかしながら、伝達の開始起点であるIL-6受容体に関する報告は少なく、研究初年度は、IL-6受容体の発現状態を確認する必要がある。 IL-6受容体mRNA発現解析:11種類の卵巣明細胞腺癌細胞株及び8種類の卵巣非明細胞腺癌細胞株を用いて、Real-time RT-PCR法 (TaqMan Gene Expression Assays, Step One Plus Real Time PCR System, Applied Biosystems) によりIL-6受容体のmRNA発現レベルを解析した。IL-6受容体発現はほぼすべての卵巣癌細胞株に認められたが、卵巣明細胞腺癌に比較的高発現であることが確認された。 臨床情報のデータベース化:外科的切除が施行された卵巣明細胞腺癌症例50例よりインフォームド・コンセントを得て収集した腫瘍組織を解析対象とし、年齢・進行病期・初回手術後残存腫瘍径・化学療法・予後等の臨床情報をデータベース化した。 IL-6受容体及びSTAT3(リン酸化)の免疫組織学的検討:上記にてデータベース化した手術検体パラフィンブロックより未染スライドを作成し、自動免疫組織装置(ベンタナXTシステムベンチマーク, Roche Diagnostics)を用いてIL-6受容体及びSTAT3(リン酸化)の免疫染色を行った。 発現の有無・強度・局在などによりスコアリングし、現在、臨床病理学的因子との関連を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、研究の進捗状況はおおむね順調であると思われる。 これまでの研究内容が、すでに確立されている実験系であるためと考えらえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度より研究内容は卵巣明細胞腺癌細胞株~実験動物を用いた解析へと展開する。 卵巣明細胞腺癌細胞株を用いたIL-6受容体の機能解析:卵巣明細胞腺癌におけるIL-6/STAT3シグナルの細胞特性への影響を、IL-6受容体高発現である培養細胞株を用いてsiRNAによるIL-6受容体の一過性発現制御により解析する。 卵巣明細胞腺癌における抗IL-6受容体モノクローナル抗体の抗腫瘍効果の検討:ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体であるTocilizumabはIL-6受容体に結合することにより、IL-6とIL-6受容体の結合を阻害する。Tocilizumabの卵巣明細胞腺癌に対する抗腫瘍効果をin vitro及びin vivoにて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究計画にある細胞株を用いた実験計画に時間を要し、その準備のための試薬等の購入が遅れてしまったため。 すでに前年度の未使用額の大半を上記の実験計画のための物品費として使用しており、現在、研究遂行中である。
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