研究課題
検診による早期発見によりこの50年間で子宮頸癌全体の死亡率は約5分の1に低下したが、進行子宮頸癌の治療は極めて難渋し生存率はほとんど改善しておらず、治療成績の向上が求められる。本研究では、癌遺伝子c-mycの機能調節に関与するマイクロRNAに着目し検討を行った。c-mycは、myc-maxヘテロ複合体として標的遺伝子の転写活性化能を発揮するが、その際c-myc結合蛋白質(MYCBP)により調節を受ける。今回我々は、子宮頚癌細胞においてmiR-22がMYCBPの発現を抑制することを見出し、一方miR-22をノックダウンするとMYCBPの発現が増加することを確認した。また、miR-22を子宮頚癌細胞に遺伝子導入したところ、c-myc下流遺伝子であるhTERTの発現が低下したがc-mycの発現量は変化しなかった。すなわち、miR-22によりMYCBPの発現が抑制される結果、mycの標的遺伝子であるhTERTの発現が抑制されるものと考えられた。続いて、進行子宮頚癌の標準治療である放射線照射に対する反応を検討するため、miR-22の遺伝子導入の有無と放射線感受性を検討したところ、miR-22の遺伝子導入により子宮頚癌細胞の放射線感受性が増強することが判明した。すなわち、短鎖RNA、miR-22が、子宮頚癌細胞において、MYCBPの発現を抑制することにより、c-mycの標的遺伝子であるhTERTの遺伝子発現が抑制され、放射線感受性が増強することを確認した。
すべて 2015
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Am J Physiol Endocrinol Metab
巻: 308 ページ: E950,E959
10.1152/ajpendo.00573.2014.