研究概要 |
mtTFAはシスプラチンなどのDNA損傷で発現誘導され、p53はmtTFAの損傷DNAに対する結合能を阻害すること、また逆にプラチナ付加体への結合能を増強することを大腸癌細胞株などで証明している。そこでp53の子宮内膜癌での発現について検討を加えた。322例の類内膜型腺癌と34例の漿液性腺癌のp53発現を調べp53発現は子宮内膜癌の分化度との関係が強く、p53陽性類内膜腺癌grade3と漿液性腺癌は共に予後不良であり、両者に有意差はなかった。この内容をJ Obstet Gynaecol Res 2014;40:812-819に論文発表した。さらに漿液性腺癌について、p53発現とエストロゲン受容体との関係を検討したところ、エストロゲン受容体陽性の漿液性腺癌は、エストロゲン受容体陰性の漿液性腺癌より予後不良であった。その内容をInt J Gynecol Cancer 2014;24:102-106に論文発表した。漿液性腺癌の組織発生の初期段階としてp53 signatureが注目されているが、60歳以上の閉経後子宮内膜において手術前にエストロゲン負荷したもの5例、エストロゲンとプロゲステロンを負荷したもの5例と比較検討した。エストロゲン負荷すると子宮内膜腺はKi-67, apoptotic index共に上昇していた。p53発現とは有意な関係はなかった。エストロゲンとプロゲステロンを負荷するとki-67、apoptotic index共に抑制されていた。60歳以上の閉経後子宮内膜72例について同様に検討すると8例にp53signatureを認め、その子宮内膜腺はki-67 indexが高くapoptotic indexが低値であった。この内容をmenopauseに投稿している。
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