研究課題
婦人科癌のPDT(光線力学的療法)においてより腫瘍特異的に光感受性物質の取り込みをさせるために、糖鎖およびその結合分子であるレクチンの臨床への応用を目指す研究を行うため、癌細胞特異的な光感受性物質の取り込みに関与する糖タンパクを同定するための準備を行った。前年度の解析の結果、子宮頸癌細胞株と子宮頚部正常上皮由来不死化細胞株でレザフィリンの取り込みのレベルが変わらなかったが子宮頚部正常上皮由来不死化細胞株では正常上皮と比較し細胞癌化の必要条件の一つである無限増殖性の獲得がなされて変化が生じているためレザフィリンが取り込まれていると考えられた。そのため、無限増殖性の獲得がなされていない正常線維芽細胞HUC-Fと子宮頸部扁平上皮癌細胞株Caskiとでレザフィリンの取り込みに差がみられるかどうか検討した。HUC-FとCaskiにレザフィリン(30μg/ml)を4時間接触させた後、PBSで洗浄し、培地交換を行い、0時間後、4時間後、16時間後、28時間後、48時間後のレザフィリンの取り込み状態を検討した。その結果、どの時間帯でもHUC-FとCaskiでレザフィリンの取り込みの差を認めず細胞レベルでは癌細胞特異的なレザフィリンの取り込みは見られないと考えられた。そのため、組織レベルでのレザフィリンの取り込みを検討するために、半導体レーザーを用いたPDTの第一相臨床試験として子宮頚部異形成の症例にレザフィリンを投与4時間後に子宮頚部組織を生検しレザフィリンの取り込みの状態を検討したところ、腫瘍部は非腫瘍部に比べてレザフィリンの取り込みが明らかに高い傾向を示した。そのため、レザフィリンは生体内では組織レベルにおいて癌細胞に多く取り込まれることがわかった。そのため、癌細胞特異的なレザフィリンの取り込みに関与する糖タンパクを同定するためには、組織レベルの違いを検討する必要があることが分かった。
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International Journal of Clinical Oncology
巻: 20 ページ: 134-142
10.1007/s10147-014-0688-0
日本婦人科腫瘍学会雑誌
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