研究課題/領域番号 |
25462624
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
竹内 史比古 国立感染症研究所, その他部局等, 室長 (50384152)
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研究分担者 |
柊元 巌 国立感染症研究所, その他部局等, 室長 (70291127)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 婦人科腫瘍学 / ゲノムワイド関連解析 |
研究概要 |
子宮頸癌発症にはヒトの遺伝的要因があることが疫学的に分かっていたが、それを担う具体的な感受性遺伝子は未発見であった(本研究を開始した平成25年4月においては)。ゲノムワイド関連解析を行って、子宮頸癌感受性遺伝子を網羅的に同定し、さらにそれら遺伝子の機能解析を行うことにより、子宮頸癌の発症機序を解明するのが本研究の目的である。 平成25年度は、子宮頸癌と強く関連するSNPを網羅的に同定するために、ゲノムワイド関連解析を行った。以下の手順で、罹患群と対照群のそれぞれについて全ゲノムに渡りSNPの遺伝型頻度を測定し、両群で遺伝型頻度の異なるSNPを統計的に探索した。 【サンプル収集とSNP遺伝型決定】共同研究を行っているHERPACC・千葉県がんセンターから提供された144例の子宮頸癌罹患者正常組織DNAについてOmniExpressExome(イルミナ社)を用いてゲノムワイドにSNPの遺伝型決定を行った。本研究以前に遺伝型決定を行っていた96例の子宮頸癌罹患者、HERPACCで遺伝型決定された699例の非がん女性対照群も加えて解析を行った。 【実験誤差を含むサンプルやSNPの除外】日本人から外れているサンプル、ヘテロ接合度が外れ値のサンプル、近縁サンプル、遺伝型決定の成功率が低いSNP、Hardy-Weinberg平衡から外れたSNP、低頻度SNPを除外した。 【遺伝子型の推測】罹患群と対照群が異なるチップでタイピングされていたので、HapMapデータを用いて、アッセイされていない遺伝子型の推測を行った。 【関連解析】各SNPについて、罹患群236名と対照群696名での遺伝型頻度の違いを統計的に検定した。残念ながら、ゲノムワイドに有意なSNP(P < 5x10-8)は見つからなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していたのはゲノムワイド関連解析であり、これは完了できた。
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今後の研究の推進方策 |
罹患群236名、対照群696名でゲノムワイド関連解析を行ったが、ゲノムワイドに有意なSNP(P < 5x10-8)は見つからなかった。従って、当初標的としていた強い関連を示す多型は存在せず、弱いか中程度の関連を示す多型が多数存在するはずである。 実際、昨年度に、スウェーデン人 [Chen et al. (2013) J Natl Cancer Inst 105:624] と中国人 [Shi et al. (2013) Nat Genet 45:918] の大規模ゲノムワイド関連解析が発表され、見つかった関連のオッズ比は1.2~1.4と中程度であった。 そこで、本研究では今後、より多くのサンプルによるゲノムワイド関連解析を行う。具体的には、他の子宮頸癌コホートとの共同研究により、ゲノムワイド関連解析のメタ解析を行う。 また、未アッセイSNPの遺伝子型推測にHapMapデータを用いたが、これはあまり精度が良くない。そこで今年度は、日本人一般集団コホートとの共同研究により、対照群を追加する。多くのSNPsでタイピングされているサンプルを追加することにより、未アッセイSNPの遺伝子型推測をより高精度に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予備実験とDNA抽出のため試薬の使用量が、当初見込みよりも少なかったため。 次年度の予備実験とDNA抽出に用いる。
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